サッカー“五輪代表”が新型コロナ禍で来日不確定のアルゼンチン戦を決めた切実な理由とは?
東京五輪の1年延期に伴い、男子サッカー競技に設けられている年齢制限も従来の23歳以下から24歳以下に変わった。強化試合の相手も同じ目的を共有する強豪国が望ましいが、今夏の東京五輪を見すえて活動しているチームは、現状では日本以外には限られているからだ。 まず北中米カリブ海予選がまだ実施されていない。2019年夏のU-21ヨーロッパ選手権を勝ち抜き、東京五輪代表も手にしたスペイン、ドイツ、フランス、ルーマニア各代表にしても、五輪に対する意識そのものがヨーロッパ全体で著しく低いため、U-24代表として活動する概念がない。 おのずと他の大陸で出場を決めている国へ視線が向けられるなかで、南米予選1位で東京五輪出場を決め、2004年アテネ、2008年北京両大会に続く金メダル獲得を目指すアルゼンチンが来日に同意してくれた状況を、反町委員長も笑顔で感謝した。 「南米の枠が2つしかないなかで、アルゼンチンは1位で出場を勝ち取っている。本大会でも力を発揮できる、素晴らしい伝統をもつチームとガチンコ勝負できることを嬉しく思っているし、私たちの現在地を知ることもできる。アルゼンチンとの2試合は目の前の本大会へ向けても、今後の日本代表の強化のためにも、非常にプラスになる最高の相手だと思っています」 ただ、課題はまだある。緊急事態宣言、外国人の新規入国停止、アスリートトラック停止がすべて解除されたとしても、U-24代表の主軸を担うヨーロッパ組を招集できる保証はないからだ。 国際Aマッチデーにおいては、各国サッカー協会から招集レターが届いた場合、各クラブは当該選手を代表チームへ派遣する義務が生じる。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)は新型コロナウイルス禍で国際Aマッチを再開させた昨年9月から、国がそれぞれ設けている検疫措置で選手たちに待機期間や移動制限が課される場合には、義務が免除されるという通達を出している。