J開幕戦で川崎Fが快勝も2ゴールの“寡黙な仕事人”家長が反省を口にした理由とは?
2021シーズンのJリーグ第1号ゴールを決めたのは、30歳を超えてから成長のスピードを急加速させ、ピッチ上で代役のきかない存在感を放つ王者・川崎フロンターレのFW家長昭博(34)だった。 ホームの等々力陸上競技場で2019シーズンの覇者、横浜F・マリノスを2-0で撃破した26日の明治安田生命J1リーグ開幕節。フライデーナイトJリーグ、いわゆる“金J”として1試合だけ行われた神奈川ダービーの均衡が、鮮やかなコンビネーションから破られたのは前半21分だった。 右タッチライン際でボールを受けた家長が、前方のスペースへ走り込んできたMF脇坂泰斗へボールを預ける。直後に「41番」はスプリントを開始し、マリノスのペナルティーエリア内へ侵入していく。そして、脇坂は近づいてきたMF田中碧とパスを交換して時間を稼いだ。 このとき、右サイドバックの山根視来が内側のレーンを駆け抜け、猛然とマリノスのゴールへ迫っていった。脇坂が選んだのは左斜め前方への山なりのパス。最初は反応した家長だったが、目の前を通過していく山根を見て急停止し、次の瞬間、やや下がり気味にポジションを取った。 「練習でやっている形が1点目で出たのは、非常によかったと思っています。ミキ(山根)からのボールが本当に素晴らしかったし、僕は集中してシュートを打つだけでした」 そのままペナルティーエリアの右へ抜け出した山根は最後には跳び上がり、空中でボールを追い越した直後に右足のヒールをヒットさせる。自身の身体はゴールラインを割りながらも、ボールを後方へ押し戻すトリッキーなプレーにマリノス守備陣は虚を突かれ、家長は以心伝心で反応した。 ヒールパスの落ち際を、利き足の左足が確実にとらえる。完璧かつ豪快なボレーが、マリノスの守護神オビ・パウエル・オビンナとゴール右ポストの間の狭い空間を射抜いた。駆けつけた仲間たちが笑顔の輪を作ったが、家長の咆哮はまだ続いた。今度は前半終了間際の43分だ。