「リンゴはいいけど、キャベツは要注意。でも…」プロ・コーチだけに伝えられた、じつは「本当に効果のある栄養」
固形物はNG
「マメ科やキャベツはガスを出し、膨満感をもたらす食材なので、ナーバスになりやすい人は気をつけたほうがいいでしょう」(シュタイン) 試合開始前1時間を切ったら、固形物は避けたほうがいいという。習慣でキャンディを口に入れたいとか、空腹感のほうが勝ってしまうのであれば、ちょっとした消化のいいものを食べるのは大きな問題にならないが、最大エネルギーを試合中に効果的に発揮したいのであれば、こうした細部への配慮も必要だとシュタインは指摘する。
「良さそう」なのに「ダメ」なもの
意外なものにもダメ出しがあった。果物やナッツ類だ。 「試合前のロッカールームには従来、《消化に良いものを》といって果物やナッツ類が置かれてきましたが、じつはこれらにも問題がないわけではないんです。フルクトース(果糖)は胃腸の負担になることがわかっています。また、果物にはグルコーゼという糖分も含まれていますが、これは血圧値をグッと上げ、そしてまたすぐに下げるという作用をもっています。さらに、食物繊維は消化活動を促進させてしまうからです」(シュタイン) 試合直前から試合が終わるまでには、炭水化物と電解質を試合中もキープできるように栄養素を考慮したスポーツドリンクが有効だという。足がつってしまう要因はマグネシウム不足とよくいわれるが、試合中に起こりやすいのは電解質が汗で流れてしまうためだ。 糖分は控えめにして、マグネシウム、電解質、鉄分、ビタミンC、ポリフェノール、アミノ酸といったものが含まれたスポーツドリンクが試合に向けた筋肉へのサポートとして最適なのだという。 それでは、「試合後」の注意点はなんだろうか。
試合後「45分以内」がカギ
試合後の食事は、休養に結びつけることが重要だ。 運動による負荷後、45分以内に補食をすることで、休養プロセスのスピードを上げ、回復を助けるといわれている。 ただし、ここで慌てて固形物を食べると、消化にエネルギーが回ってしまい、休養のためのエネルギーが不足することになる。せっかく補食をしたのに、エネルギーが必要な筋肉に血液が回るころには、すでに45分を過ぎてしまっているなどということがひんぱんに起こるのだ。 「お勧めはシェイクです。私の場合は、ベリー系の果物、カカオ、炭水化物とプロテインがミックスされたものを準備しておきます。ベリー系の果物には、筋肉内で起きる炎症を優しくいたわってくれるはたらきがあります。ポリフェノールを含み、休養作用をうまくサポートしてくれます。冷凍のもので問題ありません。 カカオにはフラボノイドが含まれていて、負荷がかかって傷ついた筋肉や細胞組織が修復されるのを支えてくれます。また、心肺の循環作用を強化し、休養の効果を高めてくれるのです。気をつけてほしいのは、ここで捕食したいのはカカオであって、チョコレートではないことです。カカオに加えてミルクや砂糖が含まれるチョコレートでは、効果が一気に下がってしまいますから」(シュタイン)