「リンゴはいいけど、キャベツは要注意。でも…」プロ・コーチだけに伝えられた、じつは「本当に効果のある栄養」
長谷部誠や鎌田大地もサポート
シュタインは現在、陸上競技に限らず、さまざまなスポーツに取り組む多様なクラブで活動している。 サッカーに関していえば、元日本代表キャプテンの長谷部誠や日本代表MF・鎌田大地がプレーしていた時期のブンデスリーガ1部・フランクフルトでも、いろんなサポートをしていた。 そんなシュタインが、ドイツサッカー協会とドイツプロコーチ連盟共催の国際コーチ会議で「栄養学の見地から最適な準備で最大限のエネルギー」というテーマで講義をおこなった。 試合前、試合中、そして試合後の望ましい栄養摂取について語られたその講義の概要をご紹介しよう。 まずは「試合前」からだ。
「試合前」の鉄則
シュタインによれば、試合前の食事にはいくつかの原則があるという。 1つ目は「食事から試合までの間に、2~3時間の間隔をとること」。 「特に、大きな負荷がかかるような試合前の場合は、3時間は空けるのが理想的です。そうすることで、脳内と筋肉への血液のめぐりが最適化された状態で試合に臨むことができます。 食後というのは、血液の多くが消化活動をしている器官へ送られ、筋肉や脳内への血液の流れがゆっくりになっている状態です。満腹後に集中しづらかったり、眠気を催すのにはそうした背景があります。 試合までの間隔が短いなかで高負荷の運動をすると、無理やり筋肉や脳内への血液が必要となってしまうために、体内の血液の分配に乱れが生じてしまいます。食後の急な運動で脇腹が痛くなるのはある意味当然の現象で、それ以外にも思うようなパフォーマンスを引き出せない要因となりがちです」(シュタイン)
肉の消化は8時間かかる
2つ目は、ふだん食べ慣れていないものを食べないこと。 サッカーの試合で新しいシステムや戦術をいきなり試そうとしてもうまくいかないように、食べ物の消化にも、すでに経験のある“確かなプロセス”が必要なのだ。 「ふだん食べ慣れていないものを食べて、それを消化しようとすると、いつもの食後とは違うさまざまな反応を身体が示すことが多いんです。それが落ち着くまで、それなりに時間が必要になってしまうため、大事な試合の前は避けるべきです」(シュタイン) 3つ目は、できるだけ消化に良く、エネルギー効率の高いものをとること。 試合前に3時間空けさえすれば何を食べてもいいわけではない。たとえば、肉の消化には最大8時間もかかるという。それはつまり、試合の間中、多くのエネルギーが消化活動に使われ続けることになる。 ならば、試合前に適切な、消化に良い食事とはどのようなものなのだろう?