恐竜は木炭を食べていた?うんちの化石から分かったこと
うんちってすごい。それを研究し続けてる人たちもすごいけど。 2024年11月27日、ネイチャー誌にある論文が掲載されました。14名の古生物学者らによる25年以上にわたる、化石化した糞と恐竜の嘔吐物の研究に関する論文です。 【全画像をみる】恐竜は木炭を食べていた?うんちの化石から分かったこと 「糞石が見つかるたびに、クリスマスプレゼントを開ける子どものように喜びました。まさに宝の山」と、米ギズモードへのメールで応えるのは、この研究の筆頭著者であるウプサラ大学の研究者、Grzegorz Niedźwiedzki氏。 糞石からは、恐竜が食べていたものがわかっただけでなく、古代の地球の生態系や地形についての発見も多くあったようです。
恐竜は木炭を食べていた
2億3000万年前、恐竜が出現したと言われています。恐竜が地球上にいたのは、中生代と呼ばれる年代で、地層の特徴によって三畳紀・ジュラ紀・白亜紀と分けられています。 そして、恐竜が絶滅したとされるのが6600万年前。原因は、隕石衝突だと考えられています。隕石の衝突によって、巨大津波や大量の塵や硫黄などが発生。大気中に漂った塵が、太陽光線を遮り、光合成する植物は減少、地球は寒冷化が進み適応できなくなった恐竜は絶滅したという説が有力です。 研究チームは、現在のポーランドにあたる地域にて恐竜の糞や吐瀉物の化石を採取。数百の糞石サンプルをシンクロトロン放射光と呼ばれる強力な電磁波を用いて調べました。 内部の断片を可視化し消化されていない食物を探したところ、大型草食動物の化石からはシダなどの植物だけでなく木炭も発見されました。恐竜が木炭を摂取したのは、シダに含まれる毒素を解毒するためだったのではないか、と研究チームは推測しています。
当時の生態系や地形を知る手がかりに
今回の化石が採取された地域は、かつて超大陸パンゲアの一部でした。恐竜が排泄したり吐き出した有機物には、植物、魚、昆虫などの残骸も含まれていて、海岸沿いにかろうじて生息していたと推測されています。 さらに興味深いのが、糞石が採取された場所では発見されなかった植物の残骸が、糞石の中に多く含まれていたことです。要は、恐竜は別の場所で餌を食べて移動していたのでは?と。足跡や化石と照らし合わせることで、パンゲア大陸の地形なども新たに解き明かされるかもしれません。 石ころから恐竜や太古の地球の姿までも想い描けるなんて、研究者ってすごいな…。
高橋真紀