中日大野の何がどう凄い?5度目完封でチームを2位浮上させ巨人菅野を抜き防御率&奪三振の2冠に立った理由
真骨頂は5回だろう。 先頭の梅野が初球にセーフティバントを試みてきたがアウト。2人目の井上はフォークでストライクを奪い2球目の146キロストレートで一塁ゴロ。3人目の小幡には、初球のフォークを引っ張られたが、ビシエドのスーパープレーで、わずか4球でイニングを終えたのである。 ストライク先行型の大野のデータが出ているため、阪神打線は、早いカウントから狙い球を打ってきた。だが、そこを大野が逆手に取った。初球から勝負球を使い、この試合では、初球凡退が5度で、初球をヒットにされたのは原口の1本だけ。また2球以内に仕留めた打者も5人いた。 池田氏は、そのストライクゾーンでの勝負が可能になっているピッチングスタイルの理由は、投球フォームにあると見ている。 「狭いステップから投じる角度のあるボールが特徴だが、鍵になっているのは右足の使い方。体を沈みこむように重心を下げて右足を踏み出すのではなく、むしろ右足は突っ立ったように使い、投球動作をそこで止める壁にしている。右足がテコの原理で反動となり、ボールに力が加わる。よく弓を引くように投げるというたとえがあるが、大野は、そうではなく拳銃の引き金をバーンと引くような投球。その引き金が右足なのだ。そうすることで頭の位置はほとんど動かずにフォームがぶれない。コントロールが安定し、しかも腕の振り、角度がストレートもフォークも同じになるのでバッターは戸惑う。完成されたフォームだと思う」 大野はノースローの日にもブルペンに入ってシャドーピッチングを行い、その右足で投球動作を止める感覚をチェックしているという。 個人タイトル争いでも”2冠”となった。。 試合前に2.07だった防御率は1.92となり防御率で巨人の菅野を抜きトップに立ち、独走している奪三振も7つ加算して128個とし、巨人の菅野に15個差をつけた。 「意識してへんと言えばうそになる。すごく意識していますし、あと3試合、4試合投げられる。ただ他の争っているピッチャーも投げる。こればっかりは、最後までわからない。毎回抑えて最後に笑えたらなと」 王手をかけた自身、5年ぶりの2桁勝利に加え、8年ぶりのAクラス入りという大目標も現実味を帯びてきた。 「勝ち星はあとからついてくればええ。まずはチームの勝利。ここから順位が下がらないように必死に投げていく」 大野の次回登板は、21日にナゴヤドームで行われる横浜DeNA戦。優勝は、絶望的になっているが、チーム悲願のAクラスを”無双”大野が牽引する。