中日大野の何がどう凄い?5度目完封でチームを2位浮上させ巨人菅野を抜き防御率&奪三振の2冠に立った理由
中日では19年ぶりとなる1シーズン5度目の完封勝利だが、大野は「ゲーム前から狙っているわけではない。長いイニングを狙っている延長に完封、完投がついてくる」と語り、36イニング連続無失点についても、「その数字は野手のみんながしっかりと守ってくれているから出ている数字。自分ひとりの力ではない。点を取られないことにこしたことはない。また1イニングずつ伸ばしていけたらいい」と謙虚だった。その語りに実直な性格が滲み出ている。 与田監督も「何も言うことはない。素晴らしいピッチング」と今季9勝目の左腕エースを絶賛。 「リリーフ投手が9連戦の中で疲労困憊という状況。投げ切ってくれと思っていたが、その通りよく投げてくれた」と続けた。 試合前は「よけいなプレッシャーをかけないでおきたい」と、あえて言葉をかけなかったという。 大野の何がどう凄いのか。 評論家の池田親興さんは、以下の4つの特徴を指摘した。 (1)左右打者のインサイドを攻める(2)ストライクゾーンで勝負して球数を減らす(3)どの球種も勝負球、カウント球の両方に使える(4)右足を利用し弓ではなく拳銃のように投げる独特フォームーーの4点である。 「4打席の配球の中で左右打者のインサイドを必ず1球はストレートで攻めているのでフォークが有効になっている。特にサンズ、ボーアの強打者に対しては、そのボールが利いていた。しかも、大野はストレート、フォーク、ツーシーム、スライダーのすべての球種をカウント球にも勝負球にも使える。特にフォークは握りや、タイミングを変えることで、外へ落としたり、内に落としたり、落とす場所までコントロールできている。超一級品だ」 本塁打ダービーのトップに立つ大山に対しては、2回の第1打席に初球からフォークを3連投した。ファウルに粘られたが、最後はフォークでライトフライに打ち取っている。 「9試合もの完投を実現している最大の理由は球数の少なさだろう。とにかくストライクゾーンで勝負しているから球数が減る。阪神打線も、大野がストライクを先行させるから早打ちせざるを得なくなり、大野のペースにはまる。ルーキーの井上に対してさえも無理してストレートで勝負することもなく変化球でキリキリ舞いさせた。無駄球がほとんどないのだ」 完投は9試合。”ミスター完投”を実現させているのは、ストライクゾーンで勝負するピッチングスタイルである。この日も112球に抑えた。