将来の自分のために「逆算」する。行正り香さんが「終の棲家」に求めた条件とは?【行正り香さんにきく〝50代。これからの住まい〟に思うこと〟⑥】
私は東京の湾岸地域で暮らしています。窓から見える視界は、広々と開けていて、窓の外を眺めると、とっても気持ちがいい。自宅の窓から見える借景を愛せるかどうかは、私にとって大きなポイントでした。 学生時代にホームステイしたアメリカのステイ先が川辺にある家で、素敵な風景の中で、自分らしい生活を楽しんでいたのが印象的でした。自分もそんなふうに暮らしていきたいと、憧れていたんです。この場所ならそれができる、と思いました。 また、私は出張が多く、無類の旅好きでもあります。空港に行きやすく、新幹線にも乗りやすい場所がよいなど、ほかにも希望の立地条件がありました。 なぜ、それが希望条件だったかというと、年齢を重ね、車の免許を返上したり、体に無理がきかなくなったりしても、飛行機や新幹線に気軽に乗れる場所に住んでいたら、旅に出かけるのがおっくうにならないでしょう? 『生涯現役』でできる限り長く、仕事も旅もしたいなら、気負わずに出かけられる、車以外の移動手段を確保しておきたい。この場所はその条件にもぴったり当てはまりました。 さらに、小さな子どもがいて、家で仕事をする時間も長いので、ある程度の広さも欲しかった。そうなると、当時の都心人気エリアに理想の家を買うのは、我が家の予算では難しくて…。 徒歩圏内にお気に入りのスーパーマーケットや水泳が気軽にできるプールがあるといった、細かい条件もクリアしたかったですし、譲れない条件と妥協できる条件をひとつひとつピックアップして、我が家の譲れない希望条件を満たした今の自宅に決めました。 最近の近辺の物件価格は決して安くありませんが、我が家を購入した頃は今ほど開発されていなかったので、手に入れやすい価格帯で、なんとか予算内に収まったんですよ」
将来なりたい自分のために、できることをやっておく
「借景として、毎日眺めている東京の景色…。湾岸にも、海の向こうに見える都心にも、高層ビルがどんどん建って、変わり続ける東京を実感できるのも得がたい経験ですね。 おかげさまで、まったく後悔することなく暮らしています。今のところ、『逆算』して考えた通り、終の棲家にする予定です。 年齢や経験を重ねるなかで、ライフスタイルや考え方が変わることもあるでしょう。そうしたらまた、その時の自分から見た『将来なりたい自分』の姿から『逆算』して準備すればいいのではないでしょうか。もちろん、私も微調整しながら生きています。 いずれにしても、将来を想像し、そこに向けて『逆算』して十分に準備をすることは、理想の自分に近づくためにできる着実な方法だと思います。 まだ終活には早すぎるでしょう。今の自分を犠牲にし、無理して準備するのも本末転倒です。ただ、早め早めに考えておくに越したことはありません。気力や体力がいつ衰えるとも限りませんから。
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