ママ友が「月9万円」のアルバイト代を「手渡し」でもらっているそう。「小さい居酒屋だから」とのことですが、問題ないのでしょうか?
近年では給料といえば銀行振込で受け取るのが一般的であるため、給与を手渡しでもらっていると聞くと、「本当に大丈夫なのか」「何か問題があるのではないか」と疑問に思う人もいるかもしれません。 結論から言えば、給与を手渡しとすること自体には全く問題ないどころか、正式な方法とされています。ただし、手渡しで給与を渡す際に、正しい手続きが行われていることが前提です。本記事では給与の手渡しに関する法律や税務上の注意点について解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
給与の手渡しは法律違反どころか正式な方法?
給与の支給方法は、銀行振込の場合が多いでしょう。大きなお金を持ち歩く必要がない、支払ったことを客観的に示せるなど、労使双方にとってメリットが大きいためです。 しかし、労働基準法第24条には、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されており、銀行振込などによる給与の支給は、労働者の同意がある場合に限り、認められています。 実際には、給与の手渡しは問題があるどころか、労働基準法で定められた正式な支給方法なのです。
手渡しでも源泉徴収と年末調整は必須
ただし、給与の支給を手渡しで行うことは問題なくても、税務上の手続きがしっかり行われている必要があります。 まず雇用主は、給与を支払う際に所得税を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収とは雇用主が給料から所得税の概算額を給与から天引き、本人に代わって税務署に支払う仕組みです。 月額で給与を支払う場合において、「扶養控除等(異動)申告書」の提出がある従業員に対しては、月額8万8000円以上(扶養親族がいない場合、金額は扶養人数によって変動)の給与を支払ったとき、同申告書の提出がない人に対しては給与の金額にかかわらず、源泉徴収を行わなければ違法となります。 具体的には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があるのです(所得税法242条)。 今回のケースでは、給与が月9万円ということなので、ママ友に税制上の扶養親族がいない場合は、源泉徴収が正しく行われていることが求められます。 また、源泉徴収される金額はあくまで所得税の概算額であるため、年末調整で年間の所得税を確定させなければなりません。これも当然雇用主の義務であり、怠った場合は源泉徴収と同様に罰則を受ける可能性があります。