矢野監督が「気持ちを感じない」中野に命じた”懲罰交代”は逆効果? 7連敗の阪神がトンネル脱出に必要なものは何か
打線も菅野をつかまえきれなかった。梅野2併殺、糸原1併殺。チャンスで手玉に取られ、7回のマウンドにも立たせてしまう。 4番の佐藤は4の0で2三振。佐藤の打席に阪神打線がセでチーム得点最下位と波に乗れない理由が象徴されているという。 「なんとかしたいという気持ちが空回りしている。ファーストストライクをどんどん振りにいく姿勢はいいが、好球必打と積極性をはき違えているように見える。配球を読みボールを絞った上で振りにいくのであればいいが、やみくもに強引に振りにいってもいいものは出てこない。難しいボールに手を出してファウルとなりカウントを菅野に作られた。ストライクが先行すれば菅野レベルになるとストライクゾーンにボールは入れてこない。逆に菅野がストライクゾーンに入れなければならないカウントを佐藤が作らないことには術中にはまることになる」 例えば4回二死一塁の打席でも初球のインコースへの厳しいストレートを振りにいきファウルとなり、続く2球目は変化球だったが、それも振りにいってファウル。簡単にカウントを稼がれ最後はフォークでスイングアウトに終わっている。 6回も初球のインコースのカットボールに手を出してファウル。最後は見送ればボールの高めの149キロの釣り球を振って連続三振に倒れた。オープン戦ではバットが止まっていたボール球に手が出るようになってしまっている。橋上氏は、「佐藤に限らず阪神打線全般に絞り球が徹底されていない」と指摘した。 連敗脱出に必要なことは何なのか。 矢野監督は、ミスをした後の4回無死一塁から走者を進めることもできず見逃しの三振に倒れた中野を「気持ちを感じない」とベンチに下げた。だが、連敗中には、そういうあからさまな”懲罰交代”や緊急ミーティングなどのアプローチは逆にマイナスに働くという。 「選手は指揮官の顔色を見る。当然、厳しさは必要だが、連敗中こそ指揮官は悲壮感を表に出すべきではない。緊急ミーティングなど選手にプレッシャーがかかることは避けることが重要で、野村(克也)さんも、連敗中には『深刻になるな』とよく言っていた。最終回に得点をして終わったのだから『明日!明日!』でいいのだ」 橋上氏がヤクルト、楽天で師事した“名将”故・野村克也氏は、連敗時には、あえて「雨はいつか上がる」と悠然と構えていたという。 矢野監督は、キャンプイン前日に異例の今季限り退任を表明した。そこまで腹をくくったのだからカリカリする姿など見せず開き直ってドンと構えていればいいだろう。負けても明るい日ハムのBIGBOSSを見習うべきかもしれない。