なぜ阪神は球団史上初の本拠地開幕3連敗を喫したのか…後手を踏んだ継投策と“新4番”佐藤輝明の好機ブレーキ
阪神が27日、京セラドーム大阪で行われたヤクルト戦に0-4で敗れて開幕3連敗を喫した。先発のドラフト3位ルーキー、桐敷拓馬(22、新潟医療福祉大)は5回まで1失点の好投を見せていたが6回につかまり、打線は2試合連続完封負けと沈黙。主催試合の開幕カードで3連敗するのは球団史上初の屈辱となった。オープン戦で進化を見せていた佐藤輝明(23)は、2度の得点機に凡退。守備の不徹底で塩見泰隆(28)にランニングホームランを許すミスもあった。阪神は、なぜ3連敗したのか。問題点を洗い直してみた。
好投のドラフト3位ルーキー桐敷が“魔の6回”につかまる
負の流れは止められなかった。見せ場らしい見せ場もないまま0-4の完封負け。開幕カード3連敗の最悪スタートとなった。 関西のスポーツ紙の報道によると、試合後、矢野監督は「終わったことは変えられない。今からどうしていくか。誰か一人でやれることではないので全員でやるしかないかなと思います」と前を向いたという。 第3戦目に先発抜擢されたドラフト3位ルーキーの桐敷が6回につかまった。5回までサンタナの3号ソロによる1失点に抑える好投を見せていた。ピンチは作ったが1回は村上をツーシームで、4回には長岡をカットで併殺打に打ち取るなど、手元で動かすボールの制球力と重たい球質、攻めの投球でヤクルト打線に対抗していたが、打順がちょうど3巡目に入る6回に崩れた。 球数は76球だったが、プロ初登板の緊張感と連敗ストップのプレッシャー、加えてまだイニングのマネジメントもできないことを考えると限界だったのかもしれない。球威の落ちたストレートを先頭の塩見にセンター前へ運ばれて盗塁も許した。続く青木には四球を与え、山田には、ど真ん中の138キロのストレートをジャストミートされた。打球はレフトフェンスを直撃。もう代え時だった。1点を失い、さらに村上を迎えたところで、ベンチは左対左ということもあり、我慢したのか。追い込まれた村上は、ヒット狙いに切り替えてレフト前へ痛烈なタイムリー。3点目を失ったところで交代を告げられたが、一手遅かった。 前日もプロ初先発となった小川が100球を超える6回につかまって4失点。2日連続で“魔の6回”に失点することになったが、いずれも継投でベンチが後手を踏んだ印象が強い。初先発の2人は当然初回から飛ばす。そしてプレッシャーやバッターの慣れなどを考慮すれば、5回でスパっと切り替える思い切った継投策があってもよかった。 だが、それができない負のスパイラルが阪神にあった。開幕戦で、齋藤、岩崎、ケラーらが炎上して7点差をひっくりかえされ、第2戦でも、左腕の渡辺が踏ん張れず、石井も失点するなど、ブルペン陣が不安定で勝利方程式が確立できていなかった。第2戦で球威のあるボールを見せた湯浅や、この日、三者連続三振で開幕戦のリベンジを果たした齋藤らが光ったが、アルカンタラ、及川、岩貞を欠き、まだ経験の少ないブルペン陣への信頼が薄いため、ついついベンチは先発を引っ張りたくなる。開幕の3日間で、8人の中継ぎ投手を繰り出し、この日は4点リードの余裕もあって、清水―マクガフではなく、大西―梅野で締めてみせたヤクルトとは対照的だった。