通天閣46歳社長・大阪への熱き思い「今年も仕掛けまっせ」
悩んだ大阪モデル赤信号点灯、でも...
ウイルスの陽性者数が減り、同年6月末で一旦消灯となったが、翌7月12日には再び感染者が急増。再び府の要請で点灯することとなり8月末まで協力した。 12月にはさらなる感染者数の増加から、恐れていた赤信号を点灯することとなった。これまでの点灯は2つ返事で応じていた高井社長。しかし、さすがに赤信号の時は少し考えた。 「赤をつけてしまうと地域に与える経済的なイメージが非常にあります。通天閣がある新世界にとっても、地域全体が赤いイメージだと影響があると悩みました。それは通天閣にとっても同じです」。しかし、府の感染状況を鑑みて「感染拡大を少しでもストップさせたい」と苦渋の決断で赤信号点灯に協力した。 ちなみに、この点灯は、すべて通天閣が無償で行っていることを、一筆つけくわえておきたい。
ピンチを支えてくれる社員の積極的なアイデア
11月にはGoToキャンペーンの効果もあってか、入場者数が前年比50%減まで戻っており、年末年始は少しは安心かと思った時期もあったが、まさかの赤信号はこたえた。 しかし、そんな中、通天閣観光の社員らも立ち上がった。「自分たちでなにかを発信していきたい」と、社員によるインスタグラム中継や様々なPR活動を実施。先の土産菓子通信販売なども、若手社員のアイデアがきっかけで実行した。 高井社長は「本当に苦しい状況、しかも休業要請の時には休んでもらうなど、みなさん辛い思いをしましたが、本当にがんばってくれています。社員は今20人おりますが、若い人たちのアイデアをくみ上げて、通天閣をどんどん変えていきたいですね」と意欲を燃やす。
噂を逆手にとったユニークなキャンペーンを実行
最近では「こんな時だから」と思いついた「大阪府民の大人が“通天閣に登ったことない“ ってアカンでしょ! 『大阪府民限定「通天閣」大人入場料金半額キャンペーン』」を実施(11日まで)。「大阪人は通天閣に1回くらいしかのぼらへん」という昔から言われる噂を逆手に取り、大人の入場者のみ半額にするというアイデアを実行した。 「年末年始の遠出はしにくい現状ですし、地元のみなさんに通天閣から大阪平野をみていただいて、もののしてんをかえることによって新たな発見をしてほしいと思った」と高井社長。もちろん迎えるからにはと、換気を常に行ったり、検温設備も増設するなど、あらゆる場所に感染防止対策を施している。 このキャンペーンは好評を受け、今月12日から31日までは割引の対象を「関西2府4県在住者」に拡大するそうだ。
「今の状況はいい意味での準備期間にする」
下を向いていても始まらない。高井社長は「これが未来まで続くわけではないので、いまのこの状況はコロナ明け、地域のみなさんにたくさん来てもらえるようにするため、いい意味での準備期間にする」といたって笑顔。 そして今年は「ピンチをチャンスにじゃないけど、ほかの施設やタワーじゃできないこと、通天閣だからできること、いろんなことをして未来永劫、通天閣が残るきっかけづくりをどんどん仕掛けていきたいと思ています。2021年も通天閣は止まりませんよ」と言いながら見せる笑顔に、通天閣らしいコテコテな明るさが垣間見えた。