通天閣9日から臨時休業へ 名物社長「従業員に休業告げるの辛かった」と涙
社長「通天閣の開業以来、危機的な状況です」
通天閣9日から臨時休業へ 名物社長「従業員に休業告げるの辛かった」と涙
大阪市浪速区の「通天閣」が8日夜、9日から当面の間、臨時休業すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が全国各地で続く中、安倍晋三首相が7日に「緊急事態宣言」を発令。通天閣は、地元である新世界の住民からの「開けていてほしい」という声や、土産物菓子の取引業者が各地の観光施設から大量に菓子を返品されたのを聞き、それを特設売り場で半額販売し、業者を支援するなどの理由で営業を続けてきた。しかし、緊急事態宣言を受け、菓子販売の営業は継続するが、苦渋の決断で展望台の休業を決めた。通天閣の高井隆光社長(45)は「一昨日の入場者数は80人、昨日は60人、きょうは30人でとどめを刺されました。通天閣の開業以来、危機的な状況です。けど朝が来ない夜はない、がんばります」と涙をこらえながら話していた。通天閣は臨時休業となるが、ライトアップと入場口付近の菓子半額販売は継続するとしている。 【映像】大阪「通天閣」が臨時休業しない理由 地元住民らの思い、取引先の手助けも
地元の声を受け、営業継続を決断していた
通天閣は、2007年度から長きにわたり年間100万人以上の来場者をキープしており、近年絶好調とされる大阪のインバウンドをけん引してきた存在でもある。 しかし、新型コロナウイルスの各地での感染拡大と同時に、その来場者数に影響が出てきた。高井社長によると、2月の入場者数は昨年比40%ダウン、3月は60%ダウンとなった。 通天閣と同じように、年間100万人を超える来場者を誇る大阪城などの観光施設は、2月末から臨時休業を始めた。しかし、通天閣は休業しなかった。 その理由を高井社長に聞くと、通天閣が立地する街「新世界」で串カツ店など様々な店舗を営業する地元住民から「通天閣の灯りが消えたら、街が死んでしまう。だから営業を続けてほしい」という強い要望があったからだという。 「街の経済も冷え込み、全体が休業するという印象を与えてしまう。そう考え、時間短縮での営業を選択したんです」と3月初めに高井社長は語っていた。