通天閣46歳社長・大阪への熱き思い「今年も仕掛けまっせ」
一石を投じた業者救済策「土産物菓子半額販売」
しかし、入場者数が減少する中、高井社長は通天閣に土産菓子を卸す業者から「大阪の観光施設のほとんどが休業で菓子が返品され廃棄できなくて困っている」という悩みを聞いた。 まだ賞味期限内だが、期限が近づいてくると返品される土産菓子。それらを廃棄するとしても今はゴミも分別の時代、廃棄だけでも相当なコストがかかるという。そこで、高井社長は「賞味期限内でもったいないし、それやったらウチで半額で売ろか」と提案した。 そして、入場料がいらない通天閣地下入り口の土産物コーナーで半額販売をはじめ、ツイッターなどで発信したところ反響が多く話題にもなった。 後に多くのマスコミに「コロナ禍の中、一石を投じ奮闘している」と取り上げられ反響が増し、業者からの菓子は地下のスペースを埋め尽くした。当時は右をみれば中部地方の土産、左をみれば九州や中国地方の土産がズラリ。このお菓子販売は休業後も続けたが、菓子をまとめて激安販売する通信販売も思いつき実行したところ、反響から北海道から九州地方まで、計3千箱以上の販売に至ったというから驚きだ。
祈りを込めたメッセージ「明けない夜はない、マスクの下は笑顔で」
また「下を向いてばかりはいられない」と、高井社長は通天閣の展望台エレベーター付近にあるタテ2メートル、ヨコ1メートルの大窓いっぱいに「明けない夜はない、マスクの下は笑顔で」というメッセージを掲げた。 「なにかみなさんに伝えたいということで5月に入って掲げました。もっと短い期間でみなさんとともに明けた朝を感じることができるかなと思ってたんですが、未だに続いているのは本当に想定外。来年度こそ本当に開けた夜というか、笑顔輝く朝をみんなとともに迎えていきたいなという気持ちを込めました。あと古いかもしれませんが、文字はやはり響きますね」と力強く語った。
突然の大阪モデル、色分け点灯依頼もアイデアで応じる
その直後、大阪府から突然「新型コロナウイルス対策で大阪府独自の基準『大阪モデル』の警戒度を色で表す協力をしてほしい」という連絡があった。府の新型コロナウイルス対策本部会議で、吉村洋文知事が「大阪のシンボリックなところで伝えることがきないか、例えば通天閣さんで」と提案があったことがきっかけだった。 この会議での発言直後、マスコミから連絡がきたことで事態を知り、すぐに「ひと肌脱ごう」と協力を決定。ただ「通天閣は決して信号の色やない」と受けるだけではダメと思い、自ら通天閣のLEDビジョンに府の公式キャラクター「もずやん」の喜怒哀楽の表情を使って、多くの人に知らせるというアイデアが浮かび、データを取り寄せライトアップを委託する業者に依頼した。 後に府がお願いに来た際にこのアイデアを出したところ、府も二つ返事で承諾。高井社長の判断で点灯も24時間行うことを決断した。「緊急事態の宣言下では24時間気にしていただく、また拡大感染予防に努めていただきたいというメッセージの表れを形にしたく24時間点灯させていただいた」と当時を振り返った。