「ISS全力で使う」大西さん意気込み 日本人3人目の船長就任も決定
小学生の時に映画「スター・ウォーズ」を見たり、本を読んだりして宇宙への関心を高めた。学生時代に映画「アポロ13」を見て、宇宙飛行士の職業を強く意識するようになった。旅客機の副操縦士として働く中、新聞報道で飛行士募集を知り、かつての夢を思い出し挑戦したという。
SNS通じ「科学に興味を」
同じことを改めて聞くのは控えたが、これまでの大西さんの取材で筆者の心に残る話は多い。その一つは、旅客機パイロット時代に大切にしたという心掛けだ。刻々と状況が変わる中でも、チームの仲間が手許でしている作業を考慮し、タイミングを見計らって声をかけるという主旨だった。巨大システムの中で目的を達成するため、気配りとともに役割を果たす姿勢は、私たちの社会生活にも参考になるように感じた。 前回の飛行では、SNS(交流サイト)に他の飛行士にはみられないほど、日々の生活ぶりや感じたことを事細かに、赤裸々につづっていた。今回もX(旧ツイッター)で「できる限り発信していきたい」としている。大西さんは「未来を担う子供たちに科学に興味を持ってもらいたい。宇宙は一番分かりやすい取っかかりになる」というが、もちろん大人にも読み応えがある。
先月末の会見で、船外活動に関する質問は何度か出たものの、船長就任への意欲は筆者も含め、誰も聞かなかった。理知的、温厚で物静かなタイプとお見受けする大西さんは、記者たちから見て、典型的な?船長のイメージとは重ならなかったのだろうか。その後に発表された「大西船長」。運用終了がさほど遠くないとみられるISSだが、まだまだ日本人が船内に新しい風を吹き込み、宇宙開発の将来に向け、現場に良い影響を与えていくと感じられるニュースとなった。 草下健夫/サイエンスポータル編集部