歩行中の交通事故 「7歳」が最も多い理由 対策は?…12月は事故件数が1年の中で最多
「教えて!ドクター」の子育てQ&A講座
「教えて!ドクター」プロジェクトの活動を続けている佐久総合病院佐久医療センターの小児科医、坂本昌彦さんが「正確でわかりやすい子どもの健康情報」を伝えます。 【図解】入浴中の死亡事故 交通事故死の4倍以上…どう防ぐ?
子どもが犠牲となる交通事故が後を絶ちません。11月には、埼玉県桶川市で横断歩道を自転車で渡っていた小学3年の男児が、東京都渋谷区では道路を一人で渡っていた小学2年の男児が、いずれもトラックにはねられて亡くなるという痛ましい事故が起きています。また、毎年12月は1年の中で最も交通事故が多い傾向があり、安全意識が一層必要です。 子どもの交通事故は、全般的には横断歩道などを歩行中の事故が多いのです。こうした事故を減らすには、事故が起きやすい年齢を知り、子どもたちに道路の安全な渡り方を教えることが必要です。 そこで今回は、まず、横断歩道を安全に渡れる年齢を確認し、どのような対策が効果的なのかを医学的な根拠を基に考えたいと思います。
小学生の交通事故リスクは低学年が最も多い
近年、交通事故による15歳未満の死傷者数は全体としては減少傾向にあり、昨年までの10年間で見ると、2013年の約4万9000人から2023年は約2万1000人と半数以下に減っています(1)。ただ、最近の減少率は緩やかで、このまま頭打ちになるのではないかと懸念されています。
子どもの交通事故で目立つのは、小学校低学年の歩行中の事故です。 内閣府の「令和4年交通安全白書」から、小学生が交通事故に遭った時の状況を学年別に示したグラフを紹介します(参考文献(2)より引用)。このデータを見ると、小学校1~2年生の歩行中の事故が突出して多いことが分かります。
また、交通事故総合分析センターの資料によると、特に7歳に高いピークがあることが分かります(参考文献(3)より引用)。
このようなデータから、交通関係者の間では「魔の7歳」という言葉もあるほどで、小学校低学年はまだまだ歩道の横断に注意が必要なことが分かります。次に、どうしてこの年齢で交通事故が多いのかを考えてみたいと思います。