2024年の画期的な科学の発見6選、人類の未来を変える進歩が続々 ハエの脳の完全な地図ほか
地球外の海、44歳と60歳で急に進む老化、ノーベル化学賞を受賞したAIも
2024年は激動の年になったが、科学はその間も絶え間なく前進しつづけたおかげで、人類はこの世界について、かつてないほど多くの知識を持っている。では、2024年の科学的な発見の中で、最もスリリングで衝撃的なものは何だろう? ギャラリー: 2024年の驚くべき科学の発見 写真と画像4点 科学的な発見の中には、人類や世界や宇宙に関するパラダイムを転換することが最初からはっきりしているものもあるが、小さな前進にしか見えない発見が、最初に倒れるドミノのように、想像を絶するほど壮大で革新的な発見への道筋を開くことも少なくない。その意味で、あらゆる進歩が注目に値する。 それでもナショナル ジオグラフィックが2024年の最も驚くべき科学的な発見を選ぶとすれば、以下の6つだ。
太陽系の衛星で地下海の発見が相次ぐ
地球の海は、長い間、唯一無二だと考えられていた。しかし、1980年代に木星の氷の衛星エウロパから奇妙な電気信号が検出されると、氷の下に、古く、暖かく、塩分を含む液体の海がある可能性が高くなった。 10月には、エウロパの海を遠隔調査し、生命が存在する可能性を探ることを目的とする米航空宇宙局(NASA)の探査機「エウロパ・クリッパー」が打ち上げられた。 土星の衛星エンケラドスにも確実に地下海があるとされているが、他にも非常に有望な候補がいくつかある。2月には、土星の衛星ミマスで地下海の証拠が見つかったという発表があり、10月にも、天王星の衛星ミランダの内部に海があることを示す説得力あるデータが示された。 生命は水を愛する。地下海を持つこれらの衛星に、微生物にせよ、あるいはもっと複雑なものにせよ、何らかの生命がいるかどうかはわからないが、生命を探すべき天体が、科学者たちが想像もしなかったほど近いところで大幅に増えた1年だった。
ショウジョウバエの脳の地図
ちっぽけで、時にうっとうしいショウジョウバエのことをじっくり考えたことがある人は少ないだろう。けれども多くの科学者にとって、ショウジョウバエ(キイロショウジョウバエ、Drosophila melanogaster)は地球上で最も重要な生物の1つだ。 ショウジョウバエの脳は非常に小さいが、餌を探しているときや仲間とやりとりしているときには、人間と同じ基本的な神経プロセスの多くを実行している。つまり彼らの小さな脳は、私たち人間の脳を含め、あらゆる種類の脳について教えてくれる可能性があるのだ。 10月、ショウジョウバエの成体の脳の完全な地図が作成され、約14万個のニューロン(神経細胞)間の5000万の接続が描き出された。一連の論文は学術誌「ネイチャー」に発表されている。 神経学者にとって、この地図は「あなた」を「あなた」たらしめているものを理解する手がかりとなるものだ。