なぜ神戸のACL8強決める”イニエスタ弾”が生まれたのか…「まだまだ歴史を作り続けていく」
前半20分にFWエリキのゴールで先制しながらも、後半に入って立て続けに喫した3失点で逆転されたマリノスのFW仲川輝人は、敗退を「自分たちの力のなさだと思う」と素直に受け止めた。 「前半に2点、3点と決めていれば勝負はついていた。そのへんの甘さが出た。一発勝負のノックアウトステージはひとつのミスが失点に繋がる。そういった甘さが、自分たちの課題だと思っている」 リードを奪った後もMFマルコス・ジュニオール、エリキ、そして自分自身と3度も迎えた決定機で決め切れなかった。後半に入るとチーム全体の重心が下がり、セカンドボールを拾えない悪循環がさらに顕著になって波状攻撃を食らった。キーパーが前に出るスタイルを逆手に取られて、後半42分にはセンターサークル付近から50m近いロングシュートを決められる屈辱も味わわされた。 西地区ではすでにペルセポリス(イラン)が19日の決勝進出を決めているなかで、準々決勝の残り2試合に臨む東地区の4チームがようやく出そろった。韓国の蔚山現代と水原三星、中国の北京国安に対する唯一の日本勢となった神戸も、大きな不安を残したまま上海上港戦を終えている。 後半20分にセンターサークル付近からロングシュートを放ったイニエスタが、右足のつけ根付近を気にし始める。直後にピッチ上に座り込んでしまった背番号8は、キャプテンマークを山口に託して同23分にMF安井拓也と交代。戻ったベンチで患部を厳重にアイシングする応急措置を取った。試合後の会見では、三浦監督も自ら代役のきかない大黒柱について言及している。 「イニエスタの足の状態が少し心配ですけど、次の試合へ向けて、しっかりと準備していきたい」 本来なら指揮官とともに出席するはずの会見に、ドーピング検査の対象となったために姿を現さなかったイニエスタは、クラブを通じて発表したコメントで準々決勝出場への意欲を見せている。 「まだまだ歴史を作り続けていきたいし、たどり着けるところまで勝ち進んでいけるようにチャレンジし続けていきたい。今後の対戦相手がどこであれ、今日のように自分たちがピッチの上でやるべきプレーをして、準決勝進出をかけて戦いたい」 ここから先は準々決勝、準決勝とともに中2日の過密日程が続く。「100%でプレーしなければやられる。すべてはプレーする自分たち次第」と位置づけていた、アジアの頂点を決める戦いもいよいよクライマックス。注目される10日の準々決勝の対戦相手は、一夜明けた8日に行われる抽選で決まる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)