どうなる?J1昇格…王手の徳島が足踏みも優位…2枠目を争い2位福岡と3位長崎が残り3試合で熾烈な勝負
7シーズンぶりのJ1昇格へ王手をかけていた首位の徳島ヴォルティスが、6日に行われた明治安田生命J2リーグ第39節で水戸ホーリーホックに0-1で敗れて足踏みを強いられた。 2位のアビスパ福岡は2-2でツエーゲン金沢と引き分け、3位のV・ファーレン長崎は1-0でモンテディオ山形を撃破。勝ち点80の徳島を同75で福岡が、さらに同73で長崎が追い、4位以下のチームの可能性がすべて消滅した状況で、2枠を争うJ1昇格争いは胸突き八丁の残り3試合へ突入する。 敵地ケーズデンキスタジアム水戸で4連勝を狙った徳島は、後半17分にMF平塚悠知に決められた直接FKを挽回できないままタイムアップを迎えた。同24分にはPKを獲得したが、チーム最多の16得点をあげているFW垣田裕暉の一撃は、水戸のGK牲川歩見に完璧にセーブされた。 勝てば福岡や長崎の結果に関係なく昇格を決められた大一番。新型コロナウイルスによる長期中断と過密日程を余儀なくされたなかで、水戸戦を含めて全試合に出場しているキャプテン、32歳のボランチ岩尾憲は特に前半において、全体に気負いや硬さがあったと認めながらも前を向いた。 「これまでの試合内容と比べれば、全体的に少しバラつきがあったのは事実です。ただ、それも昇格がかかった立ち位置にいるからこその緊張感だったと思っています」 前半5分に右サイドバック岸本武流の、後半アディショナルタイムには途中出場のFW河田篤秀のシュートが左ポストに弾かれる不運もあった。それでも後半はシュート数で9対3と押し込んだ試合展開に、徳島を率いて4年目になる46歳のスペイン人指揮官、リカルド・ロドリゲス監督も「やるべきことは変わらない」と残り3試合には尾を引かないと強調した。
徳島は敗れたが、同時間帯に戦っている長崎が山形に敗れれば徳島のJ1昇格が決まる。果たして、リーグ戦再開後で最多となる6833人のファン・サポーターが詰めかけたホームのトランスコスモススタジアム長崎で、前節に京都サンガF.C.に痛恨の黒星を喫していた長崎は我慢比べを強いられる。 山形の激しいプレッシャーの前にゴールを奪えず、守備陣も踏ん張って山形を無得点に封じる。焦れるような展開で迎えた後半41分に、待望の先制点が生まれた。セットプレーに勝機を求めた状況で獲得した左CKを、ニアサイドにポジションを取ったFW富樫敬真が豪快に頭で叩き込んだ。 チームで2番目となる7ゴール目。自身がネットを揺らした6試合はすべて勝利してきた軌跡に、今シーズンにFC町田ゼルビアから加入した27歳は「(全勝は)たまたまだと思います」と謙遜する。 「でも、最近はFWの選手が点を取ったときに、チームに勢いみたいなものが出ると肌で感じていた。その意味でも、自分が点を取る責任というものをよりいっそう感じていた」 同時間帯にホームのベスト電器スタジアムで金沢と対峙していた福岡は、2点のビハインドを挽回できないまま追い詰められていた。迎えた後半39分。途中出場のMF田邉草民が右CKの流れから決めた今シーズン初ゴールがチームを蘇らせ、わずか3分後に21歳のFW遠野大弥が続いた。 自陣の右サイドの深い位置でボールを奪取してから発動されたカウンター。4本のパスをワンタッチで繋ぎ、センターサークルの後方でボールを受けた遠野がドリブルを開始。左サイドに開いた田邉へ一度ボールを預け、ペナルティーエリア内へ侵入した刹那に田邉からの折り返しに左足を一閃する。起死回生の同点弾に、チーム最多の9得点をあげた21歳が声を弾ませた。 「最近は点を取れなくて悔しい思いをしていた。理想的な形で決められました」