奄美大島のマングース根絶、多難な道のりと外来生物のこれから
―全国各地で外来種の問題が後を絶ちません。今回得られた教訓は他でどう生かせますか。
マングースバスターズもマングースが嫌いなわけでは決してありませんし、わなを仕掛ければどうしても在来生物を混獲してしまいます。そういった意味で、実は心理的コストの非常に大きな事業でした。負担を軽減するには、なるべく短期間で終わらせることが望ましい。そのためには人も予算も集中的に投じる必要があるでしょう。
外来生物の防除は、必要があってやっていることです。私たちの事業でも、「外来種だから」という理由だけで取り組んでいる人はいません。必要性の判断根拠として重要になるのは、在来種や人間社会に与える影響です。例えば房総半島を中心に大きな問題となっている小型のシカ「キョン」による、在来植物への食害は非常に深刻だといわれていますよね。そういった悪影響についてしっかりと説明や対話を重ねていくことが、外来種対応においては重要だと今回の事業を通じて学ぶことができました。
プロフィール
深澤圭太(ふかさわ・けいた) 国立環境研究所 生物多様性領域 主任研究員 1983年神奈川県生まれ。2010年横浜国立大学大学院博士課程修了。博士(学術)。09年財団法人自然環境研究センターへ。11年より現職。専門は生態学で、統計分析を駆使した外来生物や野生動物の動態把握や意思決定支援手法の開発を行い、全球規模の野生動物モニタリングネットワーク「Snapshot Global」の日本版構築にも取り組む。
(関本一樹/サイエンスポータル編集部)