3位浮上の中日は8年ぶりのAクラス入りを果たせるのか
与田監督は、5点差があった8回に勝利方程式を使わず、木下雄を使い、いきなり、打席途中の代打、神里、柴田に連打を浴びて、あわてて福を送り込んだ。もう残り30試合。優勝の可能性は消えてもAクラスという目標があるのだから、勝てる試合は、点差や先のことを考えず、勝てる投手を注ぎ込むのが鉄則である。来季に向けて若手に育成の場を与える試合とタイミングは他にある。 ――欲を言えば3人を使わない展開に持ち込みたかったのでは?と質問された与田監督は、「DeNAの強さ。そんなに簡単には勝たせてくれない。2回で9点取ったが、その後1点も取れなかった。反省点もたくさんあるゲーム」と答えた。 代わった福は、オースティンのバットをへし折りながらもレフト前に運ばれ、その打球をレフトのシエラがファンブル。その間に2人目の走者が還った。集中力に欠けた守備のミスは、1点を争うゲームでは命取りになる。その後、福が佐野、宮崎を打ち取り二死にしてソトを迎えると与田監督は祖父江にスイッチ、それ以上、得点を許さなかった。このあたりの“細心采配“は評価できる。 さて中日はAクラスになれるのかという問題である。 2位の2.5差の阪神とは6試合、4位の0.5差の横浜DeNAとは、今日の試合を含めて7試合残す。直接対決の勝ち負けが重要になる。特に7勝11敗と負け越している阪神戦がカギになるだろう。ただ中日に、ひとつ絶対的有利な点があるのは、防御率2.18の“ミスター完投”大野雄大の存在だ。 “水曜日の男“大野雄は、このままのローテーを守ると横浜DeNAに2試合、阪神に2試合の登板が可能になる。大野が負けないと想定すると、それぞれに2ゲームを縮める、或いは広げるという計算が立つ。また福―祖父江―マルティネスの勝利方程式があるのも中日の強み。問題は打線だけ。これは来季に向けての大きなテーマとなるが、相手投手のチームとしての攻略、調子のいい打者をいかに打線にあてはめ、線にするかの打順の編成、タイムリーなき得点の確実性、そして限られた機動力の活用でリードを奪い、薄氷を踏むようなロースコアのゲームを手にしていくしか手段はない。いらぬ失点を防ぎ、いかに効率よく得点するか。