どうなる?!4階級制覇王者の井岡一翔vs”リトルパッキャオ”福永亮次の大晦日決戦…飛び散る火花と1対8の海外オッズの理由
さて試合の展望である。海外ブックメーカーのウィリアムヒルでは、井岡が1.06倍、福永に8.00倍のオッズがつけられ、井岡が断然有利の予想だ。ディフェンスを含めたボクシング技術、スタミナ、スピード、試合運び、大舞台での経験値など、すべての面で井岡が、上回っているのだから、プロが、この賭け率にしたことも無理はない。しかも、井岡はアンカハス対策としてサウスポーとのスパーを重ねてきた。 米の専門サイト「ボクシング・シーン」も「福永は井岡より少し背が高くリーチもあるが、スピードがなく経験が少ない。彼の攻撃は予測しやすい。井岡は勝つべきだし、大きな勝利を収めるだろう」と予想している。 身長差が5センチあり距離を取って戦う福永に対して、井岡は、左のリードパンチから、ワンツー、ボディを打ってプレスをかけ、福永の打ち終わりに精密なカウンター攻撃を仕掛けていくだろう。福永の武器である右フックに左を合わせ、左ストレートは、距離とブロッキングで封じこめてチャンスをうかがう。 福永が“サプライズ“を起こすとすれば、どんな名王者でも動きが硬くなる立ち上がりに一発をお見舞いしてリズムを狂わせること。福永は、「最初からがんがんいく」と宣言しているが、どちらかといえば一発ではなくボディを含めた波状攻撃で仕留めるタイプ。スピードでは叶わないのだから、フェイントを使いながら、これまでも見せてきたノーモーションの左などを駆使して、圧力をかけて、一か八かの序盤KOを狙うしか手はないのかもしれない。 ここ数試合のディフェンス技術の向上を陣営は、強調していたが、まだガードは甘い。これまでの相手では、それでも勢いと手数で潰せたかもしれないが、井岡の技術を前にしては通用しない。長引けば井岡のペースとなる。 筆者は勝敗のカギは井岡のコンディション次第だと考えている。判定で辛くも防衛に成功した9月のフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(メキシコ)戦では、明らかに出来が悪く集中力に欠き、鉄壁のディフェンスを誇る井岡が、右、逆ワンツーを幾度となく被弾した。 “モンスター”井上尚弥(大橋)でさえ、ボクサーには相手のレベルにボクシングを合わせてしまうという習性がある。井岡が、昨年の大晦日の田中恒成(畑中)戦のような抜群の集中力とキレ味を見せて、福永が前から勝負をかけてくれば、逆に、それが4階級制覇王者にとってカウンターで仕留める絶好のチャンスとなるだろう。どんなドラマが待っているのか。井岡は「何かが伝わる熱い試合をして盛り上げたい」と語っている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)