井上尚弥、推定30億円の大型契約 サウジ政府直轄イベントと締結「期待に応えるだけ」
【リヤド(サウジアラビア)4日=藤中栄二】プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が、サウジアラビア政府直轄プロジェクト「リヤド・シーズン」との大型スポンサー契約を結んだ。 【写真】井上尚弥と妻の咲弥さん 2日夜に所属ジムの大橋秀行会長(59)らと首都リヤドに到着した井上はこの日、サウジアラビア総合娯楽庁トゥルキ・アラルシク長官と対面。総額で約30億円(推定)という大型契約の合意文書に調印した。サウジアラビアと日本の友好関係樹立70周年の節目に合わせ、両国の架け橋となる「顔」に任命された形となった。 10月24日、来日中だったアラルシク長官と都内で対面して契約交渉が本格化。現地入りから2日間交渉を続け、合意文書にサインした井上は「誰もが行けるステージではないと思っている。キャリア後半にさしかかっている中で、自分のモチベーションができた。今後のキャリアに向けて楽しみな契約になりました」と満足そうな表情を浮かべて長官と握手を交わした。 同長官によると、過去には史上初となる2階級での4団体統一に成功したテレンス・クロフォード(米国)や元WBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)らと大型スポンサーを締結してきたという。 井上のトランクスなどのリヤド・シーズンのロゴが入る見通し。今回スポンサー契約を実現させた同長官は「井上選手はオールタイムでベストで最強のボクサーだ。日本、日本の市場に大きな興味を持っている。サウジアラビア、リヤド・シーズンにとって良き大切なアンバサダーになってくれると期待している」と強調した。 2度の対面を通じ、アラルシク長官の熱いボクシング愛を感じた井上は「本当にボクシングが根っから好き、ボクシングファンだなという印象を受けました」と率直な心境を口にした。今回のスポンサー契約にはサウジアラビアで試合するという条項は組み込まれていないものの、井上は「タイミングだと思う。今年の試合は決まっている。来年はどうなるか分からないけれど。もしサウジアラビアで試合ができれば、自分はその期待に応えるだけなので。日本でやっているパフォーマンスをやるだけかなと思っている」と冷静な表情だった。 リヤド・シーズンは19年からサウジアラビア娯楽庁の政府一大プロジェクトとして立ちあげ、スポーツ、ライブ、展示会など多彩なイベントを開催。国内外のエンターテインメント産業を活性化させることを目的としている。 管轄したイベントのうちボクシングでは23年10月、当時のWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)が元UFC同級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)とのボクシング対決(キングダム・アリーナ)が注目された。 また、今年5月にはフューリーVS 3団体統一同級王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の4団体統一戦(キングダム・アリーナ)で開催された。