びわ湖マラソン故障欠場の東京五輪代表・中村匠吾…本番は大丈夫か?
中村は2018年3月のびわ湖(2時間10分51秒)、同9月のベルリン(2時間08分16秒)、2019年3月の東京(2時間14分52秒)、同9月のMGC(2時間11分28秒)と半年に1回のペースでマラソンを走ってきたが、東京五輪には2年弱というロングスパンで挑むことになる。 これはMGC2位で日本代表内定をゲットした服部勇馬(トヨタ自動車)も同様だ。服部は昨年12月の福岡国際マラソンに出場予定だったが、右足ふくらはぎを痛めたために欠場。瀬古リーダーが言及していたように、東京五輪代表という重圧が大きいのかもしれない。 MGCシリーズを導入して、当初のスケジュールでは約11カ月前に早々と内定を手にしたが、東京五輪は1年延期となった。「東京五輪代表」の肩書きを長く背負い続けてきたことでの“目に見えない疲労”もあっただろう。 それでも服部は元日のニューイヤー駅伝5区で区間賞を獲得しており、復調をアピール。東京五輪に向けて再始動した。中村も深刻な故障ではなく、「大事を取って」という意味合いが強い。 マラソンの本格的な準備期間は2カ月ほど。本番に向けてはまだまだ時間が十分にあるので、さほど心配する必要はないだろう。ただ試運転の舞台がなくなる。 コロナ禍で2月上旬の別府大分毎日マラソンは1年後に延期。3月上旬の東京マラソンも今年は10月17日に通常規模での開催を目指している。海外のメジャーレースも多くが延期・中止となっているだけでなく、コロナ禍を考えると海外渡航も難しい状況だ。 中村、服部ともにマラソンのブランクができてしまうことが不安材料になる。練習で40km走をいくらこなしても、マラソン独特のレース感覚はマラソンでしか養うことができないからだ。 一方、大迫傑(Nike)は昨年3月の東京マラソンで2時間5分29秒の日本記録を打ち立てて、ラスト1枚のキップをつかんでいる。大迫もマラソンに挑戦する機会がなければ、東京五輪が1年5か月ぶりのマラソンとなる。 マラソンのブランクがあるのは海外勢も同じ。日本勢よりも格上となるケニアとエチオピア、それから欧州の強豪選手たちは欧米のレースがメインとなる。世界中を襲った新型コロナウイルスの感染状況を考えると、まだ駅伝やハーフマラソンが開催されている日本の方が恵まれているといえる。 (文責・酒井政人/スポーツライター)