3時間前に台湾が突然、先発変更…侍ジャパンが“消化試合”で絶対に勝ちたかったワケ「明日の決勝のために」《プレミア12史上初の全勝優勝へ》
野球の国際大会「プレミア12」の日本代表・侍ジャパンは、連覇をかけて台湾との最終決戦に臨む。スーパーラウンド最終日の11月23日、第1試合でベネズエラが米国に敗れ、第2試合の日本対台湾戦を待たずに、日台両チームの決勝進出が決定した。試合は日本が9対6で勝利したが、試合前には台湾代表が国際試合ならではの掟破りの駆け引きを仕掛けてくるなど、決勝戦での激突を前にすでに両チームの戦いは始まっていた。 【写真】侍ジャパン劇的満塁弾で思わず“ドヤ顔”の牧秀悟…勝負を決めた一発からのバット投げ&大はしゃぎジャンプまでを連続写真でイッキ見する!
台湾が急遽、先発投手を変更
突然の予告先発投手変更を台湾が通告してきたのは、試合開始の3時間ほど前だった。 当初は左腕のL・イーリン投手が予告されていたが、試合前に日台の決勝進出が決まると台湾側が急遽、先発の変更を申し出てきたのだった。先発予定だったイーリンはメジャーリーグのアリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下に所属する台湾投手陣の切り札的な存在。1次リーグでもスーパーラウンド進出のためにあえて日本戦を避けて、進出へのライバルとなる韓国との初戦に起用。思惑通りに韓国戦に勝って、台湾は日本ラウンドに駒を進めてきた。 そして2次リーグ最終戦の日本戦に決勝進出がかかる可能性があったため、その切り札を投入するはずだったのだが……。試合前に決勝進出が決まったため、決勝戦に切り札を投入するために差し替えを申し出てきたという訳だった。 大会規定ではもちろん変更は原則的に不可。台湾側の申し出に日本も主催の世界野球ソフトボール連盟(WBSC)に抗議した。しかし最終的にWBSCが罰金2000ドル(約31万円)を科すことで、この変更を容認。台湾はイーリンに代えて左腕のチェン・ボーチン投手を先発させることになった。 台湾のソ・ゴウク監督は「戦況や局面に応じて(先発投手を)変更する可能性があると話していた」と語り、試合後の会見では「申し訳ない」と謝罪。一方、日本代表の井端弘和監督は「もうオーダーは組んでいたし、ミーティングもやっていた。ただ決めるのは大会側だと思うので、大会側の判断だと思っている」と話している。 実は井端監督は現役時代にも同じような経験をしている。 自身が選手として参加していた北京五輪のアジア最終予選。その韓国戦で同じように韓国が予告していた右腕の先発投手を、試合直前に左腕投手に変更してきたことがあったのだ。まさに五輪本大会への進出が決まる試合で、当時の星野仙一監督が激怒したのを記憶している。しかしその時も最終的に先発変更が認められてしまった。そうした経験もあり、選手時代から国際大会の経験豊富な井端監督は、こんなスポーツマンシップとは裏腹の勝つための駆け引きが起こることは十分、承知の上での出来事だったということだろう。 そんな騒動で始まった台湾戦。 日本は当初の予定通りに先発に左腕の早川隆久投手(楽天)を起用。野手陣は主力組を休ませ、これまであまり試合に出ていなかったメンバーで打線を組んで臨んだ。決勝進出も決まり、形の上ではいわゆる“消化試合”だ。
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