なぜ吉田麻也は今日未明開催”勝負”のサウジ戦を前に「批判されない監督など世界にいない」と森保監督全面支持を打ち出したのか
おりしも新型コロナウイルス禍で設けられていた、収容人員に対する60%の上限が撤廃された。5万人前後の大観衆が予想されるからこそ、吉田は覚悟を固めている。 「レフェリーのジャッジングもスタジアムの雰囲気に影響されるかもしれないし、イレギュラーな事態は必ず起こると想定して、それらに動じないように準備していきたい」 サウジアラビアそのものも、当時の堅守速攻スタイルを180度転換させている。 直近の対戦だった2019年1月のアジアカップ決勝トーナメント1回戦。前半20分に冨安が決めた一発を死守して勝利した森保ジャパンは、シュート数で5対15、パス総数で197対659、ボール支配率で23%対77%と完全に圧倒されていた。 「日本がアジアであれだけボールを回された試合は他に記憶にない。ボール保持に長けているチームなので、守備でいい形ではめられるようにしないといけない。前回のように高いポゼッション率になると僕たちは疲弊するし、向こうも余力を残しながら戦ってくる。同じ戦い方は絶対にやってはいけない」 サウジアラビアの力量を認めた上で、状況に応じて相手のポゼッションを断ち切る。その上でベンチ入りメンバー全員で勝利を勝ち取る青写真を描いた。 「これまでの難しい、厳しいと言われた試合を振り返ると、必ずと言っていいほど途中から出た選手が結果を出している。予選を戦ってくるとある程度メンバーが固定されてくると思うけど、そのなかでもワンチャンスをものにする選手が違いを出してほしい」 森保監督が批判を浴びている理由のひとつに、メンバーおよびシステムの固定化があげられる。そうした状況を承知の上で、吉田はピッチの内外できめ細かな努力を積み重ねながらサウジアラビア、12日に埼玉スタジアムで対峙するオーストラリアの両代表と、グループBで連勝発進しているライバル勢との運命の連戦に挑む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)