なぜ”ようやく”ヴィッセル神戸の大迫、イニエスタ、武藤の”オールスターズ”が爆発したのか?
今夏の大型補強とともに誕生した、歴代屈指のタレント軍団が怒涛のゴールラッシュで共演し、ホームのファン・サポーターの前で初めて眩い輝きを放った。 ノエビアスタジアム神戸で2日に行われた明治安田生命J1リーグ第31節で、ヴィッセル神戸が5-1で浦和レッズに快勝。暫定ながら、目標にすえる来シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得する3位に浮上した。 前半8分に日本代表FW大迫勇也(31)の移籍後初ゴールで先制した神戸は、21分と34分に稀代の司令塔、元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ(37)がゴールを連発。後半に入っても8分に元日本代表FW武藤嘉紀(29)が3試合連続ゴールで、39分には元スペイン代表FWボージャン・クルキッチ(31)が来日初ゴールで続いた。 来日4年目のイニエスタと今夏の新加入トリオが圧巻の揃い踏みを果たした神戸は、今シーズン最多タイのゴールラッシュで節目のJ1通算250勝に到達。勝ち点を「57」に伸ばし、クラブ最多記録だった2016シーズンの「55」も更新した。
「神戸の圧に負けた」
浦和ボールのキックオフを告げる主審の笛が鳴り響いた直後から、前節までとは異なる神戸がホームのノエビアスタジアム神戸のピッチで躍動した。 大迫が、武藤が、そしてイニエスタが何度も前線からプレッシャーをかけ続ける。浦和のDF明本考浩の言葉が、神戸の変貌ぶりと浦和の戸惑いを物語っていた。 「神戸さんの寄せが速くて、最初の時間帯は圧に負けたという感じでした」 試合前の段階で勝ち点「54」で並んでいた浦和戦を前にして、神戸の三浦淳寛監督はシステムを変えた。大迫を1トップにすえる[4-2-3-1]から、大迫と武藤の2トップに加えて中盤をダイヤモンド型にした[4-4-2]へ。指揮官は意図をこう明かした。 「攻撃と守備の両方で前線に人数をかけて、徹底してアグレッシブにいきたかった。選手たちが各ポジションでの役割をピッチ上で的確に表現してくれたし、特に前線の2人の相手への圧のかけ方、相手のパスコースを限定する動きは本当に素晴らしかった」 7戦連続無敗(6勝1分け)で、その間の失点がわずか「2」と絶好調の浦和は中6日。対照的に神戸は中2日の過密日程で、しかも前節の川崎フロンターレ戦では武藤のゴールで先制しながら、後半に3ゴールを奪われて完敗していた。 ショックを引きずったまま敵地から移動し、軽めの調整しかできない状況で臨む浦和戦へ。チームのメンタルを鼓舞する狙いも込められたシステム変更で、プレスの「一の矢」が川崎戦でフル出場していた大迫と武藤に託された。 「もちろん疲れますけど、まあ慣れていますし、いつも通りですね」 加入後6試合目にして自身最多となる「24」のスプリント回数をマークし、チーム最多の「27」だった武藤とともにプレッシャーをかけ続けた大迫は、中2日での連続フル出場を涼しげな表情で振り返り、さらにこんな言葉をつむいだ。 「今日に関してはフォーメーション上、前に人が多くなる形だったので、相手ディフェンダーと1対2ではなく、2対2など同数になるシーンが多く作れたと思います」