「昭和な大衆酒場」はなぜ時代を超えて愛されるのか--酒場詩人・吉田類が語る歴史 #昭和98年
「素直さ」だけで大衆酒場は楽しめる
最後に「大衆酒場を楽しむコツ」を尋ねた。 「酒場に来る目的は、お酒とおいしいツマミでいい気分になるため。作法を振りかざすと野暮ですが、素直さを心がけるだけでいいんです」 初めて大衆酒場を訪れるなら、勝手を知る案内人がいると心強いと吉田は言う。 「たとえひとり酒で作法が分からなかったり知らないメニューがあったりしても、『これはどんな料理ですか?』『こういうときにはどうすればいいですか?』と、知ったかぶりをせず店員に聞けば親切に教えてくれるし、お隣さんと仲良くなるきっかけにもなります」 吉田の出演する『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)はこの9月で、放送開始から20年を迎えた。昭和を生き抜いた世代にも、それを知らない世代にも大衆酒場の魅力を伝え続ける。 「人はどんな時代でも“懐かしさ”を感じさせる場所を求めているのかもしれない。昭和から平成、令和へと受け継がれる大衆酒場の文化は、そんな気分に結びつき、安らぎの依り代(よりしろ)として愛されていくんじゃないかな」 「#昭和98年」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。