【ABC特集】「子どもが幸せだったら、お母さんも幸せになるだろうと」 仕事を休めないお母さんのために病気の子どもを預かる病児保育室も開設 72歳なにわの“人情小児科医”に密着
夫も同じ小児科医 共働きで多忙な日々
夫は大学時代に知り合った、同じ小児科の元(はじめ)先生。「尾﨑医院」の2代目です。実は元先生は、今年4月から体調を崩し、いまは眞理子先生が1人で子どもたちを診ています。 眞理子先生は2人の子ども、敦さんと路子さんを育てました。夫の実家で暮らしながら、夫婦共に当時は大阪市内の病院に勤務していました。 (眞理子先生)「私たち親2人とも、ほとんど家に帰ってこないし『誰に子育てしてもらったの?』って子どもに聞くと『大きいおばあちゃん』って。保育園から帰ったら抱っこされて相撲見て」
眞理子先生の娘・路子さんを訪ねました。 (路子さん)「私が熱を出しても、親は休めないので。親がいないというのは、ある意味当たり前だったかなと。ただ祖父母がいたので、ご飯とか作ってくれたりとか」 路子さんは、企業向けの検診機関「日本予防医学協会」で保健師として働いています。“医者の道”を考えたこともありましたが… (路子さん)「命に関与する職業なので、自分に“覚悟”がないと目指せないなっていう気持ちはあったんだと思います」 (記者)「ご両親の背中を見て、どう思いましたか?」 (路子さん)「やっぱり誇らしかったですよね。人のために仕事をしているというのが」
病気の子どもを預かる施設を開設
16年前に「病児保育室・ウルル」を開設した眞理子先生。病児保育室とは、仕事をどうしても休めないというお母さんの代わりに、病気の子どもを預かる施設です。施設にはいつも保育士や看護師がいるので安心です。 (母親)「どうしても急に熱だしたりとかあるので、仕事もなかなか休みづらかったりで、すごく助かってます」 対象は、生後3ヵ月の赤ちゃんから小学3年生まで。料金は2000円で9時間、子どもを預けることができます。ちなみにインフルエンザにかかっていても利用できるんだそうです。
眞理子先生は隙間を見つけては「病児保育室」をのぞきます。 (眞理子先生)「航輝くんは、特に熱は上がらず。そのままいけそう?」 (保育士)「はい、元気です」 この施設をつくった理由。それは40年前、昼夜問わず働いていたときのある経験からでした。 (眞理子先生)「長男が4歳ぐらいのときにおたふく風邪になりまして。座薬を入れて保育園に行ってたら、1週間目に急に高熱になって、吐き始めて『髄膜炎や』ってことになって」 「医者として、人間としても親としても妻としても、ほんとに“最悪”だったと思います。そういう時に“病児保育”があって預けてゆっくり養生してもらってたら、合併症にならへんかったのにな…とかね」