スマホが使えなくなる!? 2024年に起こりうる「宇宙天気災害」とは #災害に備える
「宇宙天気災害」は文明進化型の新たな危機
近年は国際的に、太陽フレアへの危機意識が高まっている。理由のひとつが、文明の発展によるものだ。 太陽フレアの影響を受ける社会インフラは、スマートフォンやインターネットをはじめGPSやドローンなどの高度な機器であるため、そういった機器に生活を依存している現代は、これまで以上に高い災害リスクにさらされている。
さらに、太陽活動の活発化により2024年に大規模なフレアが起こりうるのも、対策を急がねばならない大きな理由だ。太陽に見られる「黒点」の数は、太陽活動が活発になると増加する。黒点数は約11年周期で増減を繰り返しており、数が多いほど大規模な太陽フレアが起こる傾向があるとされている。 アメリカ海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気予報センター(SWPC)は2019年、黒点数がピークになるのは2025年と発表していたが、2023年10月には「次にピークに達するのは2024年1月から10月の間」という報告書を出した。 2017年には、10年に一度の規模と言われる太陽フレアが発生し、10メートル程度のGPSのズレが起こった。
「もしドローンや自動運転が普及しきった時代に起こっていたら、衝突事故が起きたり、学校や公園に農薬が撒かれたりと、大変な事故につながっていたかもしれません」と語るのは、太陽研究において世界をリードする宇宙物理学者の柴田一成さん。 柴田さんは自身の観測結果と各国との情報交換に基づき、2024年以降の太陽フレアの規模についてこのような見解を示す。 「2023年に観測した黒点数は予測よりも数が多く、前回の周期も上回る数であるため、2024年以降はより大きなフレアが起こる可能性が考えられます。2024年や2025年だけでなく、今後5年くらい先まで大規模な太陽フレアを警戒する必要があります。2017年のフレアをはじめ過去の記録では、10年に一度レベルのフレアが黒点数の減少しているタイミングで起こったこともあるためです」