「できないものをできないと言えない風土」日野自動車会見8月2日(全文3)
不正を許容する雰囲気がなぜ温存されたのか
中島南事務所:すいません、中島南事務所です。よろしくお願いいたします。2ページの下5行などを見ておりますと、先ほどから言われている相互のチェック体制が希薄とか、声を上げられないとかという問題ではなくて、そもそも不正を許容する雰囲気があったのではないかと察せられるんですけれども、なぜこうした雰囲気が温存されてきたのか、それを教えてください。なるべく具体的に教えていただけると助かります。 それと、1つの機種にだいたい何人ぐらいの方が不正に携わっていたのか、その後そういう人たちっていうのは、どこの部署に異動していったのかというような、この時系列の流れでも教えていただきたいんですが。 榊原:各機種の不正行為にどれぐらいの人たちが関わっていたというのは、ちょっと千差万別でありまして、そんなに、1機種1機種を捉えるとそんなに多くの人が不正行為を具体的に認識していたっていうのは認められないというふうには。数人、せいぜい数人という感じだと思います。 そういった不正行為がどうして起こったのかっていうことですけれども、その点については先ほどからご説明しておりますように、やっぱりできないものをできないと言えないために、開発目標について引き受けてしまって、開発計画がうまく進まずに最後追い込まれてこういった不正行為が行われることになり、そして不正行為を行ったことについて、なかなか声を上げられない。一方で、相互のチェック体制が不十分なために温存されていったというふうにみております。
人事異動でほかへ流れていくことはなかったのか
中島南事務所:そうすると、そういうような方々が人事異動でほかへ流れていくということはなかったんでしょうか。 榊原:その点、申し訳ありません。非常に専門性、技術的な高度な知識とか経験が要るもんですから、なかなか人材が流動化していないと。その部門に固定化しているというのは、1つの問題としてありまして、ほかのところになかなか異動していかない。それで異動しないがために、そういったことが継続されていることが発覚しにくかったということもあったと思います。 中島南事務所:新人育成の過程で、そういう不正を許容するという風土が、上から下へと受け継がれていったということでしょうか。 榊原:許容する風土が受け継がれていったという表現がいいのかどうか、ちょっと分かりませんけれども、やはり同じような立場になっていって、先輩から話を聞いてそういった不正行為に関与していたという流れはあったと思います。 中島南事務所:島本さん、技術的な面から見て、そういったようなことっていうのは、続いていくことがあるんでしょうか。 島本:普通って言うとおかしいですが、なにがしかのチェック機能が働いて、どこかのタイミングではそういうのが表に出てくるはずなんですよね。だから、報告書の中にも指摘しているとおりに、パワートレーン実験部の中での不正行為が受け継がれていたっていうところはあるんですが、ほかの組織にそういう、相互の監視機能みたいなのとか、報告書の中にも書きましたけど、懐疑心みたいなのを持って見る目がなかったりとか、品質保証とか、品管機能の中でチェックがされてないとか、そういうところが大きな課題としてあるというふうに指摘をさせていただいています。だから、通常はそういうところで、組織内の人材流動がなかったとしても見つかるべきものであったんじゃないかなというふうには考えています。 中島南事務所:ありがとうございます。 司会1:それでは次の質問。前から2番目の方、お願いいたします。