なぜRIZINキックワンナイトTMで優勝を逃した皇治は引退を示唆したのか…バッティング批判に眼窩底骨折
総合格闘技イベントの「RIZIN.29」が27日、大阪の丸善インテックアリーナ大阪で、4796人のファンを集めて行われ、注目の61キロ契約のキックワンナイトトーナメントでは、地元大阪の“主役”皇治(32、TEAMONE)の1回戦で偶発的なバッティングにより梅野源治(32、PHOENIX)が負傷し無効試合となるアクシデントが起きた。運営サイドが、参加4選手と協議の上、1回戦の高橋亮(26、真門ジム)戦をTKO勝利で突破した白鳥大珠(25、TEAM TEPPEN)と皇治で決勝戦が行われることになり、SNSで賛否が沸騰したが、白鳥が3ー0の大差判定で皇治を下して優勝した。試合後、皇治は「それ(引退)も考えなあかん」と引退を示唆した。
カウンターの右フックでダウン
皇治の右目の周りがどす黒く腫れている。 「本当に心から梅野選手には申し訳なかったと思っています」 インタビュールームに現れた元K-1戦士は、その第一声でこう謝罪した。決勝戦で白鳥に完敗を喫して優勝を逃した悔しさではなく、1回戦で偶然のバッティングにより負傷を負わせた梅野への懺悔がまず先に口をついたのである。 「(白鳥は)強かった。本気で勝てると思ってやってきた。いろんな気持ちがあるが、結果を受け入れなければならない。自分の実力の無さ」 約13分間のインタビューの間、皇治は一度も軽口を飛ばさず笑わなかった。 決勝の白鳥戦は惨敗だった。3人がフルマーク。和田良覚氏は「30-25」と3ラウンドの試合に5ポイント差をつけたほど。 “倒れない男”が両手をついた。 1ラウンド。皇治の打ち終わりに白鳥の右フックのカウンターが一閃。もろに浴びた皇治は両手をつきダウンを宣告された。なりふり構わずに頭から突っ込んで、開始早々にまた「バッティング」を犯した突進力は、若干弱まったが、それでも前に出た。 前蹴りから膝蹴りを顔面にめりこまされ、インローを蹴られ足も腫れた。早くも満身創痍。それでも左ボディから左フックのコンビネーションで反撃した。ただ、このラウンドの終わりには、皇治のキックが白鳥の急所を直撃。バッティングに金的攻撃という“反則のデパート状態”に場内は異様なムードに。 「初めての経験でペースを乱された」とは白鳥の回想。 2ラウンドに入ると被弾覚悟でパンチを繰り出していた皇治がたまらずガードを固めながらプレスをかける戦術に変更した。だが、白鳥は冷静に距離を取り、その入り際にフックを乱打した。3ラウンドには、また皇治がバッティングからラビットパンチまで繰り出して試合がストップ。白鳥が右目をしょぼつかせて、ノーコンテスト(無効試合)かと会場は騒然となり、レフェリーはついに「警告」を告知した。 皇治は最後まで前に出続けたが、もう逆転KOにつながるパンチもキックも残っていなかった。リングに横にならなかったのが、せめてもの皇治のプライドだった。 「悔しかった。圧倒できなかった。KO負けしない皇治選手をKOしたかったが、誰も成し遂げていないことができなかったのが、本当に悔しい。(パンチとキックは)効いていたと思う。途中、ぐらついている部分もあってそこで倒しきれない弱さがあった」 優勝した白鳥もダウンを奪いながらKO決着できなかったことを悔しがった。