「僕はセレモニーをしてもらうまでの選手になれなかった」大田泰示は静かにDeNAを去って…古巣コーチ就任へ「泥臭くやってこられたのが財産」
各球団が戦力を再編する季節。ベイスターズでも一人の好漢が今シーズン限りでバットを置いた。大田泰示。ジャイアンツのドラフト1位、しかも背番号55を託されるという重圧の下で始まったプロ生活。決してずば抜けた成績を残せたわけではない。それでも笑顔で終われた野球人生を語り尽くしたNumberWeb独占インタビュー! 〈全2回の2回目/1回目はこちら〉 【写真】「ヨコハマサイコー!」DeNA、日ハム、巨人…大田泰示の歩みと今季日本シリーズの横浜の躍動を写真で見る 16年間のプロ生活を終えた大田泰示にとって、最後の3年間を過ごした横浜DeNAベイスターズはどんな場所だっただろうか。 「本当に野球に楽しく取り組ませてもらって、いい人たちに巡り合えたと思っています。三浦大輔監督はもちろん、相川(亮二)さんはジャイアンツ時代に自主トレでお世話になった方ですし、(鈴木)尚典さんや(石井)琢朗さんに指導してもらったことは、今後の自分を考えても財産になりました。またメンタルスキルコーチの遠藤(拓哉)さんには、僕の新しい発見につながる言葉をたくさん頂いて、本当に濃い3年間だったと思います」
最後にハマスタをホームにできた
また東海大相模高出身の神奈川が誇るスター選手だった人間として、現役晩年に聖地・横浜スタジアムをホームとしてプレーできたことに運命を感じている。 「高校時代、ハマスタで何度も試合をして、夏の予選大会で負けてね、プロとしてはホームランも打てましたし、サヨナラヒットも放つことができた。だからハマスタでやりたいことはいろいろできたのかなって」 どこか懐かしむように大田は言った。惜しむらくは今季、つばぜり合いとなったシーズン後半やポストシーズンで躍動する大田の雄姿を見られなかったことだ。果たして大田は、ポストシーズンを勝ち抜き、26年ぶりの日本シリーズ制覇を成し遂げたチームをどのように見ていたのだろうか。
今年の横浜、いいチームだなって
「いやもう、ずっと面白い試合を展開してくれましたよね。僅差でのゲームや、日本シリーズでは連敗からの4連勝とか、野球ファンを喜ばせる戦いをしてくれたと思います。個人的には、宮﨑(敏郎)さんや(伊藤)光さんといった先輩方が30代後半になっても戦いつづけていることに、すげえなってリスペクトしかなったですよ」 34歳の大田は、感嘆しながら言った。 「皆、本当に頑張りましたよね。(森)敬斗はこういう勝負に必要な勢いを持ったラッキーボーイになれたし、クワ(桑原将志)はお祭り男になってMVP獲っちゃうし、そして縁の下の力持ちとしてトバ(戸柱恭孝)が好リードでチームを引っ張る姿を見て、いいチームだなって思いましたね」 あの場にいられなかったのは寂しかったんじゃないですか、と尋ねると、大田は小さく頷いた。 「寂しいっすね。一昨年、昨年と一軍で戦ってきて、こうしたら勝てるかもしれないよね、チームの雰囲気はこうだよねっていろいろ仲間と話してきたので、今年1年、いられなかったのは寂しかったし、あの場でチームの力になれないもどかしさは正直言ってありました」
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