なぜRIZINキックワンナイトTMで優勝を逃した皇治は引退を示唆したのか…バッティング批判に眼窩底骨折
43秒の予期せぬアクシデントがあった。 1回戦の梅野戦は、頭から突っ込んでインファイトを仕掛けた。「偶発的バッティング」とジャッジに判断された頭突きが梅野の顔面を直撃。梅野がひるんだ、その直後にさらに左フックを2発顔面にお見舞いをした。梅野は大きなダメージを負いドクターはストップをかけた。梅野は左目の眼窩底骨折と鼻骨骨折、脳震盪。バックステージまで救急車が入って搬送され、試合はノーコンテストとなった。 入場口で、その試合を見ていた白鳥は憤りを覚えたという。 「いらついた。ふざけんな。ノーコンテストで決勝がなくなるのかという怒り」 それでも白鳥は「キックを警戒していた」という高橋からカーフからの左フックでダウンを奪い、最後は左ストレートで粉砕した。 しかし決勝戦が宙に浮いた。 勝ち抜いた選手が怪我で決勝に進めなくなるケースなどは想定していたが、無効試合となるケースは想定外。過去の例でいえば無効試合のケースでは怪我をしてない選手が次に進んでいるそうだが、1回戦の2試合が成立しない時点で「トーナメント自体が無効」(榊原CEO)だという。 そこで榊原CEOは、4選手と陣営と、それぞれ協議して、皇治が決勝に進むことでトーナメントを成立させることを決定した。 SNSでは「皇治が決勝に進むのはおかしい」などと賛否が噴出。 白鳥陣営では「競技性が薄れる」との反対意見もあったが、白鳥自身が、「2回戦うつもりで大阪まで来た」と主張して異例の決勝戦が実現した。一方の皇治は「梅野選手に直接、謝りたい」と、かなり落ち込んでいたという。 「お客さんが来てくれている。被害者ぶって試合をしないのは違う。最後までリングに上がろうと戦った」 トーナメントを提唱し、地元大阪での絶大なる人気をバックにチケットを売り、スポンサーも集めた皇治は、使命感をもって決勝のリングに向かったが、気持ちを切り替えることは難しかった。 「仮面ライダーみたい」 ワンナイトトーナメントのベルトをそう称した白鳥は、リング上でマイクを握り「バッティングには気をつけてください。本当に危ないので」と皇治に呼びかけた。 ネット上では「皇治の反則負けではないか」バッティング論争が起きていた。梅野戦でのジャッジの判断は「偶発的なバッティング」である。ルール上は、故意でない限り反則ではなく減点はない。レフェリーが止めなければ攻撃の続行は常套である。 那須川天心は、ツイッターで「第3のパンチは避けるのも技術」と投稿。続けて「反則する方が100%悪いのは確かですよ」ともツイートした。この試合について言及したものではないが、白鳥も「何回もあったが、もらった自分が悪い。中へ入らせた」と私見を述べた。 ちなみにプロボクシングの世界では、バッティングは「第3のパンチ」と表現されて対処できなければ世界のベルトは獲れないし守れない。ただ偶然のバッティングで流血した場合、させた方を減点にしている。”反則”との批判を受けた皇治は、「自分の技術不足。(ルールで)認められている攻撃でダメージを負わしたんじゃないから反則だと思う。自分に非がある。もちろんワザとじゃない。何も言い訳はない」と、独自の見解を明らかにして謝罪した。 榊原CEOは、「映像を確認する必要がある。偶発的ではあったが、ルールを含めて検証するいい機会。バッティング論争じゃないが、検証でルールの見解を発表したい」という方向性を示した。