宮崎での震度6弱受け、初の南海トラフ巨大地震「注意」 冷静に緊張感持って備えの再確認を
巨大地震の可能性、「普段より数倍高く」
今回の地震について気象庁は南海トラフ地震の想定震源域でM7クラスの地震が起きた「一部割れ」に当たるとみている。一部割れとは想定震源域の一部が破壊されることだ。 「南海トラフ巨大地震が発生する可能性が普段より数倍高くなった」。評価検討会の平田会長は記者会見でこう繰り返した。「普段より数倍」とはどういうことか、具体的なイメージは分かりにくい。
この巨大地震の発生確率は「30年以内に70~80%」。「70~80%」を30で割って「1年以内の確率」を出すのは間違いだ。30年経っても起きない可能性もあるが今日、明日起きるかもしれない。「元々いつ起きても不思議ではない」(平田会長)とも言える。このリスク感覚が「普段」だった。
この状態のリスクが「数倍」高くなった。評価検討会によると、現時点で言えることはこれに尽きる。政府は2012年に最大32万3000人が死亡するとの想定を公表。14年には建物耐震化や津波避難施設の整備などの対策を進めて、想定死者数を8割減らすとの目標を掲げた「防災対策推進基本計画」を策定した。そして「巨大地震に備えを」と事前防災の重要性が叫ばれてきた。
1週間内で起きなくてもいずれ起きることを忘れずに
内閣府や気象庁などによると、M7以上の地震の後に1週間以内にM8級の巨大地震が起きた確率は「数百回に1度程度」だという。今回の臨時情報「巨大地震注意」が出されても1週間以内に大きな揺れが来ない可能性も高い。同庁も「臨時情報の注意が出たからと言って必ず後発地震が起きることを意味しない」と繰り返し強調している。
今後巨大地震が起きないことを願うばかりだが、それを情報の「空振り」と捉えてはいけない。臨時情報のめどとされる1週間で起きなくても「いずれは起きる」(平田会長)。
家具転倒防止や水や最低限の食料など必需品の備蓄、避難経路の確認など個人でできる備えは多い。「避難態勢の準備」とは例えば、すぐ逃げられる状態で就寝するとか、常備薬や絶対に持ち出したい小物を非常用袋に入れておく、スマホの充電器の確認などだ。高齢者や障害者らを抱える家庭や地域は一層注意が必要だ。「注意」段階でも場合によってはあらかじめ安全な場所への移動が必要かもしれない。