「朝起き上がれない」中学生の10人に1人――起立性調節障害、不登校の要因に #今つらいあなたへ
岡山県の市立小学校の養護教諭の女性は、遅刻や休みがちの子で起立性調節障害の可能性が考えられる子の保護者には、ガイドラインを活用し、チェックシートの項目を聞いたり、相談できる医療機関を共有したりする。保護者には「ほけんだより』で病気の特徴や症状を伝えている。 「学校の職員の認知もまちまちです。職員から休みがちな子や体調が悪い子の相談があった場合には、起立性調節障害の可能性があることも伝えています」(養護教諭)
「子どもたちの会」が発足、対面の交流会も
理解を広げたいと、当事者や保護者たちによる発信も始まっている。 8月中旬の週末、横浜市庁舎のスペースに5人の子どもたちが集まっていた。当事者でつくる「起立性調節障害の子どもたちの会」の交流会だ。記事冒頭の中山知佳穂さんが2023年5月、当事者同士が交流する場をつくりたいという思いから会を立ち上げた。 この日参加した5人は小学6年生から高校2年生まで。電車で数時間かけて茨城や埼玉から来た子もいる。子どもたちは最初、緊張した表情だったが、テーブルを囲んでカードゲームやトランプをしながら、自分たちの好きなドラマやテレビの話をしているうちに距離が近くなった。 「気温差が激しいと調子が悪くなる」「台風前のおとといは2時ごろまで起き上がれなかった」と、自分たちの体調も話題にのぼった。
ゲームで気持ちをほぐした後は、隣接するカフェへ移動。交流会は3時間近く続いた。初めて参加したという横浜市内の小学6年生のヒカリさん(仮名)は「重い雰囲気じゃなく、ネットやドラマの話ができて楽しかった」と話した。 「子どもたちの会」は兵庫や茨城、神奈川などに在住の当事者5人で運営している。全国から参加できるように月に1回、オンライン交流会を開くほか、年4回のオフラインの交流会も開催している。Xやホームページで当事者の気持ちも発信する。 知佳穂さんは言う。 「起立性調節障害になってつらいことが多かったので、病気のことは誰にも言わないでおこうと思った時期もありました。でも、この病気と向き合っていく中で、同じ状況の子たちと情報や気持ちを共有し、社会に発信したいと考えが変わっていきました」 今は任意団体だが、近くNPO法人化して活動の幅を広げる考えだ。