月を目指す考え「確実にあります」若田宇宙飛行士が会見7月21日(全文2)
地球低軌道活動へのさらなる挑戦が重要
そういった、これまでわれわれが築き上げてきた技術をきちんと生かして、さまざまな形で成果を出していく。その強みを生かして、より新しい取り組みとして、民間の利用っていうのが拡大していくということ。その民間の利用が拡大していけば、例えばそれは宇宙旅行につながったりとか、新しい薬の開発、そういったものが民間主導でもっともっと進んでいくっていうことがありますので、われわれの「きぼう」、それからHTV-X、そういったものが持つ強みを生かして、地球低軌道の活動にさらに挑戦していくっていうことが重要だと思います。そういった強みを出すということで、日本のプレゼンスを発揮することができて、それが私としては国際宇宙ステーション参画への延長につながってほしいなというふうに希望はしています。 読売新聞:ありがとうございます。 若田:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。それでは、こちらの。一番後ろの方、どうぞ。
狭い船内でどういったかじ取りが迫られるのか
毎日新聞:お話ありがとうございます。毎日新聞の垂水と申します。先ほどウクライナ情勢のお話がありましたけれども、若田さん、4回目のフライトのときにISS船長として、ロシアがクリミア編入の時期だったこともあって、両国間の宇宙飛行士の間で難しいかじ取りを迫られたということを以前お話しされていたと思います。今回は、現在訓練するに当たってそういった場面はあるんでしょうか。また、実際、狭いISSの船内で、どういったかじ取りが迫られるということになるんでしょうか。 若田:ご質問ありがとうございます。私も貴重な経験を前回の飛行のときにもさせていただきましたけども、私たち宇宙飛行士、有人宇宙活動の現場ができるということは、何度も繰り返して申し訳ないんですけども、国際宇宙ステーションの運用を安全・確実に進めて利用成果を出していくという、まさにそこに尽きると思うんですよね。ですから軌道上にいるときに米国、それからロシア側からさまざまな報道っていうのが宇宙ステーションにも上がってきますけども、私たちはやはり、今われわれができることは何かっていうことをきちんと考える。私たちができないことを考えるのではなくて、できることに集中するっていうのかな、それは常に心掛けてきたと思います。 そのときも、地球にいない人たちは私たち6人だけだよねという、そういった共同体意識みたいなものが芽生えて、米露の宇宙飛行士と私を含めてですね。で、宇宙ステーションでできることをきちんとやっていこうと、いろんな状況に惑わされることなく、できることをきちんとやっていこうという、そういう気持ちで臨めましたので、これは今後も同じだというふうに思います。ですから今回、米露の宇宙飛行士と宇宙ステーションに行きますけれども、同じ気持ちで、私たち有人宇宙活動の現場の者ができることをきちんと進めていきたいという、そういうふうな気持ちを持っています。 毎日新聞:すいません、もう1点なんですけれども。今回飛行すれば日本人宇宙飛行士として最高齢の飛行になるということですけれども、肉体的な変化というのを感じてらっしゃいますでしょうか。また、そういったハンデを凌駕するようなご経験、ご自信があると思いますが、その辺りについてはどのように捉えてらっしゃいますでしょうか。 【書き起こし】若田宇宙飛行士が会見7月21日 全文3に続く