「学歴別男女の未婚率の差」大卒男性は9割が結婚しているが、大卒・大学院卒の女性は3割が生涯未婚
大卒の未婚率「男<女」
男女で学歴別の未婚率は大きく違う。
2022年の就業構造基本調査より、最終学歴別年齢別未婚率を男女で比較してみよう。ちなみに、対象は有業者のみで無業者は含まれていない。
大卒及び大学院卒でみると、実はほぼすべての年齢帯で男より女の未婚率が高い。特に、大卒以上の女性の未婚率は35歳以上でほぼ変動なく、これが女性の初婚限界年齢が37歳であるということにもつながるのだが、30%前後をずっとキープしている。
2020年の国勢調査における全女性の生涯未婚率は17.8%であるが、50-54歳時点での未婚率は、大卒27%、大学院卒29%であり、それをはるかに上回る。大学や大学院に進学した女性の約3割がもうすでに生涯未婚なのである。
逆に、男性の大卒・大学院卒は、初婚限界年齢の40歳を超えても微妙に未婚率は下がっており、最終的には50-54歳時点で大卒未婚率16%、大学院未婚率は12%と男性全体の生涯未婚率28.3%を大きく下回る。
大卒以上の学歴で考えるならば、むしろ未婚率は男<女ということになる。
一方で、高卒以下同士で比較すると男女とも年齢別の未婚率はほぼ同じである。
男性は高卒より大卒以上のほうが結婚しやすく、女性は大卒以上より高卒の方が結婚しているということだ。
大学進学率は男女拮抗
2022年の文部科学省「学校基本調査(確報値)」によれば、大学進学率は男子59.7%、女子53.4%とほぼ男女が拮抗しており、毎年の伸び率は女子の方が高いことから、いずれ男女の大学進学率は並ぶことになるだろう。
女性の大学進学率と生涯未婚率とは強い正の相関があることは以前のこちらの記事(100年続いた日本の皆婚時代の終焉。女性の大学進学率と生涯未婚率との奇妙な一致)でも紹介しているが、女性の大学進学率とその女性が生涯未婚率の計算対象となる30年後の未婚率とがほぼ同じになっているという事実もある。
もちろん、2022年の女子大学進学率が53.4%だからといって、2052年の女性の生涯未婚率が50%を超えると短絡的には考えられないが、一方で、高学歴で高収入の就職先に入り、仕事にもやりがいを感じ、経済的にも満足できる収入を得ていれば、無理をして結婚する必要性を感じなくなる女性が増えていく可能性は高い。
すでに、有業者全体のうち、大学卒業者の数は29歳以下では男女ともほぼ同数になっている。
学歴同類婚で、大卒同士の男女の結婚の絶対数は増えるかもしれないが、分母が大きくなる分、「大学は出たけれど生涯未婚」という男女の数も増えるだろう。いや、むしろ「大学を出たがゆえに選択的に結婚しない」という女性が増えていくのかもしれない。
加えて、非婚化がさらに進む懸念材料もある。
現在大卒の男性の生涯未婚率が1割程度と低いのは、学歴の違いによってその後の男女収入に違いがあったからである。今後大学進学率が、男女同率となり、収入が同等の男女が増えれば、少なくとも増えた大卒女性の人口分、収入が女性より下の男性の未婚が増えることが予想される。女性は、結婚相手として自分より稼げない男は眼中にないからだ。
そういう相手と結婚するくらいなら、一人で生活することを選ぶし、子を欲するのであれば「未婚の母」を選択するだろう。
良し悪しの問題ではなく現実がそうなっている。
結果として、未婚化はますます加速するだろう。
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