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昨シーズンの最も「平均的な打者」は、阪神タイガースのゴールデン・グラブ受賞者

宇根夏樹ベースボール・ライター
甲子園球場(ペイレスイメージズ/アフロ)

 昨シーズン、日本プロ野球の平均打率は.256、出塁率は.328、長打率は.399だった。メジャーリーグのスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)は、先日、「昨シーズンの「最も平均的な打者」は、平凡とは程遠い選手だった」で書いたとおり、.248/.318/.409が平均だ。

 メジャーリーグで規定打席に達した選手のなかでは、ヒューストン・アストロズのマーウィン・ゴンザレス(現在はFA)が最も平均に近かった。長打率.409は平均と同じで、打率.247は1ポイント差。出塁率.324も6ポイントしか違わなかった。

 一方、日本プロ野球には、もっと平均に近い選手がいた。阪神タイガースの梅野隆太郎だ。梅野は初めて規定打席に到達し、.259/.328/.396を記録した。これは、打率と長打率がいずれも平均と3ポイント差で、出塁率は同じだ。打率は平均より3ポイント高く、長打率は3ポイント低いので、あくまでも数字のお遊びではあるが、3部門の平均との差(+3、±0、-3)を合計するとゼロになる。

 規定打席以上の60人中、梅野の打率は48位、出塁率と長打率は43位に過ぎない。こちらの平均は.284/.362/.455だ。ただ、60人のうち、捕手として出場したのは、梅野の他に、埼玉西武ライオンズの森友哉(.275/.366/.457)と千葉ロッテマリーンズの田村龍弘(.239/.309/.328)しかいない。森のスラッシュラインは3部門とも梅野を上回るものの、捕手出場は81試合にとどまる。田村は梅野と同じくフルタイムの捕手ながら、スラッシュラインは梅野に及ばない。

 梅野は初のゴールデン・グラブ賞に加え、打撃においても、捕手では上位に位置した。捕手として30試合以上に出場した27人のスラッシュライン(捕手以外の出場時を含む)で見ると、梅野の打率は6位、出塁率と長打率は4位だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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