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薬師寺泰匡

薬師寺泰匡認証済み

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救急科専門医/薬師寺慈恵病院 院長

報告

解説一酸化炭素(CO)はヘモグロビンに結びつく能力が酸素より数100倍高いので、吸入後、酸素が全身に行き渡らなくなり、低酸素状態から頭痛、嘔気、めまいを生じます。重症では意識も低下します。 一般的な経皮酸素飽和度測定器は酸化ヘモグロビンを測定しますが、COが結びついてもこの数値は高くなります。診断には血液検査(血液ガス検査)が必要です。 同時に何人かの傷病者が発生した場合は中毒を考えますが、食べ物での中毒症状はアナフィラキシーでもない限り数分では出ません。換気の悪いところで炭をたくとCO中毒になりますので、今回の状況はその可能性が高いです。 とにかく低酸素を解決するため、治療は高濃度酸素投与や高気圧酸素療法です。 重症になると、記憶障害、抑うつ、不安、計算能力低下や運動機能障害、めまいを残す事があります。避けられるリスクは避けましょう。 室内で炭をたかない やるなら換気必須!!!

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 東賢一

    近畿大学 医学部 教授

    補足いろりで炭を起こして焼肉をしていたということですが、炭に火を付けて燃焼させている状態では、酸素が燃焼…続きを読む

  • 佐々木成三

    元刑事部捜査第一課・警部補/一般社団法人スクールポリス理事

    解説こういった事故が起こる理由としては、一酸化炭素中毒が発症するメカニズムの認識不足が大きな原因だと感じ…続きを読む

コメンテータープロフィール

薬師寺泰匡

救急科専門医/薬師寺慈恵病院 院長

やくしじひろまさ/Yakushiji Hiromasa。救急科専門医。空気と水と米と酒と魚がおいしい富山で医学を学び、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院で救急医療に従事。2020年から家業の病院に勤務しつつ、岡山大学病院高度救命救急センターで救急医療にのめり込んでいる。ER診療全般、特に敗血症(感染症)、中毒、血管性浮腫の診療が得意。著書に「やっくん先生の そこが知りたかった中毒診療(金芳堂)」、「@ER×ICU めざせギラギラ救急医(日本医事新報社)」など。※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。

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