見解<人の命とは> この事件が社会に突きつけた問題に、私たちはどれほど答えられてきただろうか。「障害者にも生きる権利がある」。そんなことは言うまでもなく当然だ。だが、重度の知的障害児者は、ほとんど私たちの目に触れることはない。テレビに登場する知的障害児者は、歌ったり踊ったり演奏できるような方々だ。「全ての人に生きる権利がある」。この真理を、私たちはどれほど理解しているだろう。 加害者もまた診断名がつく人だった。措置入院(精神科への強制的入院)歴がある人だった。能力も高く良い評価を得ることもあったが、事件の前に私たちができることがあったはずだ。 責任能力があり有罪なら、死刑が順当だ。しかし、通常なら最高裁まで裁判が続くはずなのに、一審判決で控訴されず、死刑が確定した。世間には、さっさと死ねと語る人もいた。 「全ての人の命は大切だ」。この言葉に、私たちは例外をつけるのか、つけないのだろうか。
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コメンテータープロフィール
1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。
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