「一言でいうと“お遊び”」「子どもたちはまだ何者でもないから」…心理学者と考える性格診断との付き合い方
無料性格診断テスト「16Personalities」を知っているだろうか? 若者を中心に流行しているこのテストはユーザーが数十個の質問に対し「賛成」「反対」と回答することで、自身の性格タイプを知ることができる。 【映像】“同じタイプ”のカップル「性格合いますね」 外向型や内向型、感情型や論理型など、アルファベットで表される性格タイプは全部で16種類。それぞれに「主人公」「冒険家」などの名称が付けられている。 街の人からは「飲みの場で聞かれることもある」「『この人と相性がいいか』など会話の種にしている」「インスタグラムの自己紹介欄に書く子もいる」などの声が聞けた。 「16Personalities」は性格検査の「MBTI」と混同されることもよくあるが全くの別物だ。 アルファベットを使ってタイプを表す点が似ているため、混同されることもあるが、日本でMBTIの普及を行う日本MBTI協会もHPなどで違いを説明している。また、イギリスにある「16Personalities」の運営会社も、『ABEMAヒルズ』の取材に対し「この2つは全く異なる」と回答した。 それにしても人はなぜ性格診断にハマるのか? 「日本人は流されやすいので、旬や流行りに乗りたいのでは?」「身近で手軽にできるところがいい」「日本人は血液型で『A型はどう』とか気にする。16タイプに細かく分類されると、知りたくなるのでは」(街の声) 一方で、「人間には様々な感情や表し方があるが、16タイプで分けるのは浅はかではないか」という声も聞かれた。
◼️心理学者「一言でいうと“お遊び”」
明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は「16Personalities」について「こうしたネット上にあるような心理テストは一言でいうと『お遊び』だ」と述べた。 「臨床心理士や公認心理師の資格を得るために法律で定められた授業の中で、心理テスト・心理検査を網羅的に教えるが、『16Personalities』を教えることはまずない。そもそも専門領域・現場では、最近はタイプ分けがほとんど行われていない。なぜなら、人には“グラデーション”があるからだ。例えば内向的・外交的だといっても、どこでそれを分けるかという基準もないし、人は場面によって全然行動が変わってくる。そもそもの型自体の妥当性・信頼性も極めて低いだろう」 また、若者を中心にここまで流行している要因について藤井氏は「子どもはまだ何者でもないからだ」と分析した。 「子どもや若者は自分がどういう人間かをわかっていないから知りたいという潜在的な欲求がある。特に思春期は『あなたはこういうタイプだよ』『これが長所や強みだよ』と言われて『そうなんだ』と自己肯定感が上がったり、どうしていけばいいのかを考えることができる。ただ、『この子はタイプが違うから仲良くなれない』となったり、同じタイプ、もしくは『相性がいい』と判定された人だけで連帯したりするようになるのは、本当に意味がない」 ではこうした性格診断テストとはどのように付き合っていけばいいのか? 「大人も含めて性格診断の“限界”を踏まえた上で会話のきっかけなどとして使う分には問題ないが、“性格診断に合わせた勉強法”など、きっちりと“型”にはめてしまってはせっかくの子ども可能性が失われる部分もあるだろう。大人であっても、知らず知らずのうちに自分のタイプで思考や行動が制限される場合もある。個人が勝手に信じる分には構わないが、やっていない人への無理強いも避けて欲しい」 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部