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田中淳夫

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森林ジャーナリスト

報告

見解日本の林業地では皆伐が広がっているが、再造林率は3~4割である。つまり7割近くが伐採後放置されていることになる。問題は、その後森林が復活するかどうかだ。記事にある通り、熱帯地方や日本のような湿潤温暖な地域では、植物が生育する力が強く、放置しても森林は再生する可能性はある。ただし、そこで生える樹木が人間の必要に応じられるような樹種ではなければ「森林資源の減少」となる。また草木が生えるまでの裸地の期間が長ければ、降水などによる土壌流出や斜面崩壊(山崩れ)を引き起こす。また周辺から草木の種子が自然に運ばれる環境ならよいが、そうでないと何十年経っても低木しか生えない。何か植物が生えればCO2を吸収するだろうが、「森林の自己再生力」という言葉を安易に使って放置するのはやはり危険だ。

コメンテータープロフィール

日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、自然科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然と人間の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』『虚構の森』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は明治の社会を揺り動かした林業界の巨人土倉庄三郎を描いた『山林王』(新泉社)。

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