金山発見狙い、外資が国内42カ所で調査 鉱毒懸念し反対運動も
外国資本の企業5社が日本国内の少なくとも計42カ所の金鉱山跡で金の採掘に向けて調査や試掘を進めていることが、毎日新聞の取材で判明した。最新技術で新たな金鉱脈が発見できる可能性がある一方、環境への悪影響や持続的な開発が行われない可能性を懸念する声もあり、調査が表面化した地域では住民の反対運動が起きている。 【写真】石川県志賀町で試掘を進める外資資本企業の関係者 有害物質を含む廃水の処理などの費用をまかなえるだけの事業性がある金鉱脈を掘り当てた場合、国内では1981年に見つかった菱刈鉱山(鹿児島県)以来となる。 かつては日本各地に金鉱山があったが、ほとんどが廃山となり、現在商業規模で操業しているのは菱刈鉱山のみだ。 新たな金採掘の事業を進めるのはカナダの3社とオーストラリアの2社。既に複数のプロジェクトで試掘をしている企業もある。2013年に活動を始めた企業は毎日新聞の取材に「日本ではとても浅い部分しか採掘されておらず、深い所で新しい鉱脈を見つけられる可能性がある」とする。 一方、調査が表面化した北海道黒松内町では、住民の反対運動が強まっている。変化のなかった国内の金鉱山開発に一石を投じる外資の競争は、住民も巻き込み、過熱を続けている。 そもそも、鉱脈は本当に見つかるのか。過去に繰り返された鉱害を発生させないだけの十分な資金や設備を用意できるのか。不透明な部分も多く、国内の業界関係者らは外資の動きを静観している。【片野裕之、伊藤遥】