解説アメリカに敵対的な勢力同士を戦わせて、後は高みの見物を決め込むという「戦略」は、シリア紛争にイスラーム過激派が導入された2012年頃からアメリカの政界の一部で取られていたもので、これを「燃えるがままにせよ」戦術と呼びます。シリア紛争の場合はシリア政府とその背後にある「抵抗の枢軸」陣営にイスラーム過激派をぶつけるというもので、シリアのクルド民族主義勢力はそうした戦いの間隙に手先を扶植する営みです。そういう意味で、アメリカにとってクルド民族主義は現地の駒であり、その犠牲や命運に親身になってやる必要がない当事者です。「抵抗の枢軸」陣営が崩壊した後にイスラーム過激派が伸びるか否かが焦点ですが、現在は「イスラーム国」も含めイスラーム過激派を馴致するという文明的な実験の過程にあるので、単に「空白」を懸念しているだけではない思考や分析が必須です。
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コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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