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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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解説アサド政権崩壊の「空白」に乗じてISのテロが発生しているというが、ISの元になる「イラク・アルカイダ」がイラク戦争後にイラクに入り、対米や対シーア派の攻撃を始めた時、戦士の9割はシリアからイラクに入った。占領米軍から排除されたイラクの旧情報機関と、米占領を挫折させようとしたシリア情報機関が協力してアルカイダをイラクに呼び込んだとされる。ISが登場した時、カリフのバグダディの副官はイラク側もシリア側も元イラク軍人で、イラク側は軍情報部出身だった。シリア内戦でもアサド政権軍が主に空爆したのは反体制派の支配地域であり、IS支配地域ではなかった。政権軍とISが反体制地域を挟撃する構図でもあった。現在「シャーム解放委員会」(HTS)がアサド体制を崩壊させ、アラウィ派を排除して新体制をつくっているが、今後、排除されたアラウィ派旧情報機関がISとのパイプを使って新体制を揺さぶるという可能性があるだろう。

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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