解説現在は、アメリカの次期政権が正式に発足してそれがちゃんと動くようになるまでの「空白期間」です。この時点で「提案」や「仲介」や「交渉」をするアメリカ当局はもうすぐいなくなるので、別に気にする必要はありません。次が来るまでそれなりに時間もあります。となると、紛争当事者の全てにとって、現在は「自分に有利な既成事実を最大限拡大する」ために全力疾走する段階ではあるでしょうが、すぐにいなくなる当局に耳を傾ける局面ではなさそうです。しかも、記事中にある通り「提案」は専らイスラエルの要求や主張を伝える内容となっている可能性が高いので、ヒズブッラーのことが嫌いなレバノン人でもその「提案」に賛意を示したらレバノン社会での名声も立場も失いかねないものでしょう。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒（1998年）、上智大学で博士号（地域研究）取得（2011年）。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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