解説イスラエルによるレバノンやシリアに対する攻撃は、理由の如何を問わず違法な過剰防衛と思われますが、この記事は「ヒズボラ」を攻撃するなら何してもいいというストーリー作りに奉仕するかのような書きぶりです。イスラエルはレバノン方面への攻撃強化の当初、ヒズブッラーの幹部の大半を殺害し、一方的に戦闘を進めているかのようでした。ただし、過去1カ月半ほどの間、レバノンからイスラエルへと発射されるロケット弾・無人機は一向に減っておらず、地上戦の「進撃」のわずかなようです。これまでの経験に鑑みると、イスラエルが「停戦」を言い出すときは自力で達成すると主張している軍事目標の達成とその維持を「他所の誰か」の負担で実現しようとするときです。これまで「部外者」扱いだったロシアに言及する以上、同国への「対処」も必要になるでしょうし、中東を越えたはるかに広範囲の国際関係・紛争に影響を及ぼす「合意」ができるかもしれません。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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