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髙岡豊

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中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

報告

解説2023年10月に今般の戦闘が勃発した時点で、既にガザ地区で破壊された建物から救出されることなく「行方不明」になっている者が多数いることは指摘されていました。元々ガザ地区には長年の封鎖が原因で重機もこれを動かす燃料も十分になかったので、このような事態はあらかじめ予想されていたのです。また、これは単に感情や道徳の問題ではなく、戦時においては敵方の正統性を徹底的に剥奪することは当然の戦術となります。広報上の誹謗中傷だけでなく、記事中で話題となった救急・救助を含む、敵方の医療、教育、食糧供給、上下水道などなどの住民向けの行政サービス供給能力を破壊しつくし、統治者としての正当性を奪うこともそうした戦術の一つです。イスラエルはハマースだけでなくPAの正統性や存在を否定しているので、イスラエルがパレスチナ人民のためにサービスを提供しようとするあらゆる主体を貶め、軍事攻撃するのは当然ともいえるのです。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鈴木一人

    東京大学教授/地経学研究所長

    解説ガザ地区における被害の全容はまだまだはっきりしない。少なくとも現在出ている数字はあくまでもわかってい…続きを読む

  • 川上泰徳

    中東ジャーナリスト

    解説イスラエル軍のガザ攻撃で建物の瓦礫に埋もれる遺体が推定1万体というのは、急に出てきた数字ではなく、毎…続きを読む

コメンテータープロフィール

髙岡豊

中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。

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