解説HHCとは「ヘキサヒドロカンナビノール」の略で、大麻に含まれる向精神作用があり規制物質であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)に水素分子を追加して、別の化学構造をもつ物質に変換して作られたものである。摂取すれば大麻と同じように多幸感や陶酔感などが生じるといわれているが、HHCはTHCと化学構造としては異なるために、法的規制からは外れていた。そこで2022年に厚労省は、HHCを「危険ドラッグ」として取締りの対象としたのであった。ただ向精神作用については、HHCはTHCよりは弱いが、効果が生じる前に不安感や吐き気、血圧の降下などの副作用で気分が悪くなる可能性があるといわれている。 今では薬物の合成製造のノウハウや新薬発見の情報は、ネットで共有されている。大麻に含まれる物質はもとより、合法な物質を出発点として利用する単純な合成経路も公表されており、国内外の規制を回避することに利用されている。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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